教育年報1983年(S58)-271/323page

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福島県教育センター

  第1節 概   要

 教育センターは、本県学校教育の向上発展に寄与するため、

教育関係職員の研修、教育に関する専門的、技術的事項の調

査研究、情報処理教育、教育相談及び教育図書・資料の作成

収集、普及、活用などに関する事業を推進してきた。それら

の事業の概要は次の通りである。

(1) 研修事業

  教育センターは、教育関係職員の専門的職能と資質の向

 上を図るために、第二次福島県長期総合教育計画に基づく

 研修計画めうち、幼稚園教育、学校経営、教育研究法、教

 育工学、各教科、道徳、特別活動、生徒指導、教育相談及

 び情報処理教育などに関する専門的内容についての研修事

 業を実施した。

  本年度は、現在の学校教育の課題とされている生徒指導

 の充実・徹底にこたえるため、学校カウンセラー養成講座

 の新設をはじめ、教育相談関係講座の増設を図った。また、

 全講座とも、専門研修としての特色を一層うちだすととも

 に、教育現場の指導の実践につながるよう講座内容の見直

 しを行い、その改善充実に努めた。

  教育センターで本年度行った研修講座数は60、講座開設

 回数は107回、研修定員は2,053人、研修延べ人員は2,533

 人に及んでいる。また、研修講座開催期間も58年6月1日

 より59年2月9日まで114日になっている。

(2) 研究事業

  当教育センターに課せられた研究機関としての役割と使

 命を達成するため、広く全国的視野にたって教育の動向を見

 守り、本県が当面している教育上の課題や学校における教

 育実践上の諸問題と関連する研究主題を設定し研究を進め

 てきた。これらの研究は所員並びに学校関係者の協力を得

 ながらプロジェクトチームを組んでの共同研究として行っ

 てきたものであり、内容は次のとおりである。1)学校経営

 に関する研究として、「教育課程の経営に関する研究―第

 3年次(3年継続研究)」、2)学習指導に関する研究として

 「学習指導と評価に関する研究―第1年次(3年継続研

究)」、「小学校低学年理科及び高等学校理科2に関する研

究―第2年次(2年継続研究)」、3)福島県標準学力検査問

題の研究として、小学校(1〜3学年)社会・理科の県下

児童の学力実態分析と中学校(第1学年)国語・数学・英

語の検査問題の作成、更に、4)生徒指導に関する研究とし

て「学習意欲を高める心理的な治療に関する研究―第2年

次(2年継続研究)」、5)教育課程の実施に関する研究とし

て、「教科指導、教育工学に関する研究」を取り上げた。

  これらの研究成果は、紀要や資料として刊行し、学校及

び教育関係機関などに配布して普及を図った。また、全

所員各自が研究テーマをもって個人研究にも励み、研究

報告書としてまとめた。更に所員による「所内研究報告

会」を開催し、研修と研究の一体化を図り、研修講座の

充実に生かすように努めた。

(3) 教育相談事業

  幼児・児童・生徒の教育上の諸問題について、学校や保

 護者からの相談に応じ、その望ましいあり方について臨床

 心理学や科学的な方法(遊戯療法・行動療法・カウンセリ

 ング等)により、診断・指導・治療・矯正などを行い、解

 決のための援助を行った。また、移動教育相談を県南、会

 津、いわき、相双教育事務所管内で実施した。なお、年間

 相談延べ件数は1,712件であった。

(4) 教育図書・資料事業

  県内教職員の教育実践活動に役立つ情報・資料を各学校に

 提供するため、教育の専門図書、資料を広く収集するとと

 もに、整理・保管して研修者の利用に供した。また、教育

 に関する研究・研修の成果を所報、紀要などによって、学

 校及び教育機関などに普及し、研究並びに実践活動の援助

 に努めた。教育諸問題に関する照会は、直接来談や電話、

 郵便によるものなど年間57件に達した。

(5) 情報処理教育に関する研修及び実習

  大型電子計算機及びNC工作機械を使用して情報処理

 教育講座を実施し、146人が研修したほか、教員個人研修

 に延べ155人を受け入れ、更に高校生延べ3,034人の実

 習が年間を通して行われた。郵送による利用は、延べ675

 人を数えた。

  第2節 教職員研修

 昭和58年度は、県教育委員会が教職員研修の体系化と効果

的な推進を図るために策定した「教職員現職教育計画」の実

施第5年次に当たり、教育センターと本庁関係各課との教職

員研修に関する連絡調整は極めて円滑に行われ、研修計画の

実施・運営はすっかり軌道に乗って進めることができた。教

育センターは、県教育委員会が行う基本・専門・特別の3研

修区分のうち、「専門研修」を担当しているが、各研修講座

が教職員一人一人の自己研修に発展し、また、児童生徒及び

各園・学校の実態に即した校(園)内研修の充実につながるこ

とを期待して特に研修内容の吟味に努めた。その概要は次の

通りである。

(1) 研修講座の整備・改善

  前述のように、学校教育に求められる時代の要請などを

 検討し、教育相談の充実強化に役立つようにするため、学

 校カウンセラー講座の新設、高等学校教育相談講座の増設

 をはじめ、中学校教育相談講座を小・中教育相談講座とし、

 小学校教員にも教育相談の理論及び技術に関する研修の機

 会が得られるようにした。

(2) 研修内容の充実

 1) 全講座について、新学習指導要領の目標や指導内容を

  吟味して講座内容を構成するとともに、当面する学校の

  教育課題や要請にこたえるよう研修内容の再検討を行

  い、充実した、しかも魅力あるものとなるように努めた。


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