教育年報1984年(S59)-076/287page
へき地学校は会津地方、次いで阿武隈山系に分布して
おり、その多くは小規模校と分校である。
児童生徒数についてみると、全児童生徒数に対して、
へき地小学校在籍児童数は10.1%、へき地中学校在籍生
徒数は8.0%に当たる。また、教職員については、県教員数
の17.5%のものがへき地学校に勤務している現状であ
る。
(2)へき地教育の振興策
へき地の学校は、概して小規模であり、かつ分校も多い
ため複式学級が多い。従って教育条件の改善充実を図ると
ともに、へき地学校に優秀な教員を確保することが緊要で
ある。
1)へき地教育の人事行政
「昭和59年度末人事に関する方針」1の(2)において、」
「教育の機会均等の理念に立脚し、各学校の教職員組織
の充実と均衡化及び教育庁職員組織の充実をはかる。」こ
とを基本方針としてかかげ、これを受けて昭和59年度末
小中学校教職員人事実施要項の二において「交流のため
の区分を設定し、すべての教職員を在職期間中に都市、
平地、へき地の勤務を公平に経験させる。」こととしへき
地と各地域との計画的な交流の推進を図った。
また、へき地派遣制度によるへき地派遣、へき地学校勤
務で優秀な実績をあげた者の管理職への抜てきなどの施
策もあわせて実施した。
ア へき地交流
(ア)地域区分
県内の地域区分を次のとおりとする。
○特A地域 旧4市(福島、郡山、若松、平)の学校
O A地域 市、主要町村の学校
O B地域 特A、A及びC地域以外の学校
O C地域 へき地の学校(人事委員会、教育事務
所の各指定学校)
(イ)交流基準
(ア) へき地学校勤務については次の基準による。
○教員については、その在職期間中に別表2によ
る期間勤務する。ただし、会津ブロック外出身
者の会津ブロックへき地学校勤務年数は、別表
3による。
○昭和28年度以降採用者のうちで、へき地学校勤
務の経験のない者については、計画的にへき地
学校へ転出させる。ただし、へき地学校に勤務
すべき該当者が少ない場合においては、採用年
度にかかわらず計画的にへき地学校に転出させ
る。これがため、当分の間はまず、昭和22年度
から昭和27年度までの採用者であって、へき地
学校勤務経験のない者及びへき地経験の少ない
者を重点的に考慮する。
○すでにへき地経験を有する者が、再び相当期間
へき地学校に勤務し、都市又は平地の学校に転
出を希望する者については、優先的に考慮する。
別表2
級 別 教育事務所 人事委員会指定へき地 指定のへき
地特 地
準1級地1級地 2級地 3級地 4級地 5級地 勤務年数 4年以上 3年以上 2年以上 別表3
「会津ブロック外出身者」
の会津ブロックヘき地勤
務年数へ き 地 級 地 別 教育事務所指定
特地、準1級地1級地以上 2年以上 昭和59年度へき地交流件数
学校種別/転出入 へき地への転入件数 へき地からの転出件数 管 内 管 外 計 管 内 管 外 計 小学校 121 84 205 194 128 322 中学校 54 31 85 77 72 149 計 175 115 290 271 200 471 イ へき地派遣制度
へき地校勤務満了教員で、都市又は平地の学校に勤
務する教員のうちから、成績優秀な中堅教員を厳選し
て計画的にへき地学校に派遣し、その教育実践をとお
してへき地教育振興に役立てるとともに、当該教員が
相当期間勤務し、その勤務成績が良好の場合は、抜て
き人事等の優遇措置を講ずることとした。相当期間と
は3年以上である。
昭和58年度末は特に東白川地区、南会津地区を重点
地区に設定し、教員組織の充実強化を図かった。
2) へき地学校教職員の経済的優遇策
ア 旅費の配分算定資料として、へき地学校の場合は、
教員1人当たり5,000円の研修旅費を支給し優遇して
いる。
イ 赴任旅費の支給
4、5級の高度へき地の学校に赴任する新採用教員
に対する赴任旅費を支給している。
ウ へき地手当及びへき地手当に準ずる手当の支給
人事委員会指定のへき地学校に勤務する教職員に対
し、給料と教職調整額と扶養手当の合計額にその級地
に応じて、それぞれ4%、8%、12%、16%、20%、
25%.乗じて得た額が、へき地手当として毎月支給さ
れる。
また、このほかにへき地手当に準ずる手当として、4
%へき地学校、長期勤務手当の支給がなされている。
なお、複式学級担当者に対しては、多学年手当を支
給している。