教育年報1984年(S59)-169/287page
保健体育
第1節 概 要
第2次福島県長期総合教育計画に基づき保健体育課におい
ては、昭和59年度福島県教育委員会重点施策の一つである「健
康と体力の向上をめざす社会体育の推進」を柱として、体育
・保健・安全・給食の各分野において相互に連携を密にしな
がら各施策の推進を図った。その概要は次の通りである。
1 学校体育の充実
学校体育担当教員の資質向上のため、新規の格技(柔道・
剣道)段位認定講習会を始め、各種体育実技指導者講習会を
開催するとともに、学校体育指導の手引(昭56〜58作成・小
・中・高校総則体育編)の活用に努め、指導力の向上を図っ
た。
特に、新規事業として県教委指定の集団安全行動推進校
(小・中各1校)を設け3年間の研究推進を始め、文部省指
定の「体力つくり推進校」「格技指導推進校」県教委指定「体
力つくり研究推進校」の実践研究及び公開発表を契機として
体力の向上の推進に努めた。
また、小学校運動競技奨励事業を拡充し、陸上及び水泳の基
礎的な運動能力の向上を図った。
県下児童・生徒の体力・運動能力の実態を把握し、運動性
方を講ずるようスポーツテストを全児童・生徒に実施した。
改訂学習指導要領が実施されてから小学校5年目、中学校
4年目、高等学校は3年目に当たり、小・中・高校それぞれ
改訂の趣旨・内容の充実と徹底を図った。
2 学校保健の充実
学校における保健教育・保健管理の充実を図るために学校
保健関係教員を対象として、保健主事・養護教員講習会(県
内2地区)、学校保健・学校安全指導者資質向上講習会(県内2
地区)、新採用養護教諭研修会(県教育センター)、養護教員経
験者研修会(県教育センター)、中堅養護教諭研修会(県教育
センター)等を開催し、資質の向上に努めた。
また、教職員、児童・生徒の疾病・異常者の早期発見に努め
るとともに学校保健委員会の設置促進と活動の活発化を図
り、学校保健の充実に努めた。
更に、児童のむし歯予防の実践的研究を推進するため昭
和57〜59年度の3年間、喜多方市立松山小学校を文部省の研
究指定校として依頼し、本年11月7日約200名の参加を得て、
3年間にわたる実践研究の公開発表を行い、所期の目的を達
成じた。
3 学校安全の徹底
学校における安全教育、安全管理の強化を図るため、保健
安全指導者資質向上講習会(前掲)、交通安全教育指導者研修
会(県内3地区)等を開催し、資質の向上に努めた。
また、小・中学校及び高等学校を対象に「安全に関する図画
・作文・習字・交通安全ポスター」の募集を行い、「国民安全
の日」制定の趣旨の普及徹底を図った。
4 学校給食の改善充実
本年度の学校給食の実施状況を児童生徒数で見ると、完全
給食は小学校は変わりなく、中学校0.5パーセント上昇し、小学
校で97.4%、中学校では75.8%の実施率となった。米飯給食
は小、中学校ともに実施率は100%である。米飯の回数は週当
り平均2.2回となっており全国平均を上回っている。
また、学校給食費は小学校198円41銭、中学校231円11銭とな
っており、全国平均をかなり上回った値を示している。前年
度と比較した上昇率は、小学校1.2%、中学校0.8%となって
いる。
学校給食の適正な運営改善充実及び給食関係職員の資質向
上を図るため、各種の研修会等を開催し所期の目的達成に努
めた。また、新規事業として、県教委指定の学校給食改善研究
校(場)2ヶ所を設け、給食の改善、充実に努めた。更に食
中毒や労働災害等の事故防止を図るため、文書、研修会等に
より衛生思想の啓蒙、安全管理の指導に努めた。また、地域の
特性に根ざした学校給食を実現するため学校、家庭との連携
推進事業の強化を図った。
5 県研究大会の開催
幼児・児童・生徒の健康増進と体力の向上を目指すととも
に、学習指導の改善充実を図るため、第8回福島県学校体育
・保健・安全・給食研究大会が約700名の参加を得て、白河市
民会館を主会場にして2日間の日程で開催し、所期の目的を
達成した。
6 社会体育の振興
県民の多様化しつつあるスポーツ活動への欲求に対応する
ため、野外活動並びにスポーツ活動指導者等を対象とした各
種講習会、研修会を開催し、指導者の養成と資質の向上に努
めたほか、小学生スポーツ教室、スポーツ功労者等派遣事業
(剣道教室)を開催し、小・中学生のスポーツ活動の推進に
努めた。
特に本年度は、新規事業として、婦人層のスポーツ活動を
推進するため、婦人スポーツ指導者講習会を7地区において
開催し、婦人スポーツ指導者の養成と資質の向上に努めた。
また、県総合体育大会、社会人(職場)スポーツ大会をはじ
め、各種競技会を開催し、県民スポーツの振興を図るととも
に、国民体育大会及び東北総合体育大会に選手団を派遣し、競
技力の向上と志気の高揚に努めた。
更に、本年度開催された第23回ロサンゼルスオリンピッ
ク大会をはじめ、各種国際競技大会に11名の選手を派遣した
ほか、スポーツ少年団活動の育成を図るとともに、日独スポ
ーツ少年団同時交流事業に積極的に取り組み、国際親善への
役割を果たした。