教育年報1985年(S60)-152/279page
関和久上町遺跡(西白河郡泉崎村大字関和久所在)
3)調査指導委員
伊東信雄(東北学院大学教授)、
坪井清足(奈良国立文化財研究所所長)、
梅宮茂(県文化財保護審議会委員)、
岡田茂弘(国立歴史民俗博物館教授)、
進藤秋輝(宮城県多賀城跡調査研究所考古一科長)
4)調査期間
昭和60年10月7日〜11月22日
5)調査結果
5か年計画の4年次目の調査として高福寺跡地点の調
査を行った。その結果、奈良〜平安時代の大形の掘立柱
建物跡、建物跡を囲む棚跡などが検出され、白河郡家関
連の官衙施設である可能性が極めて高くなった。したが
って、さらに発掘区を拡張し、その性格を究明する。
(4)埋蔵文化財保護体制充実のための研修
1)第13回福島県埋蔵文化財発掘技術者講習会
・期間 昭和60年8月6日〜8月10白
・会場 (財)福島県文化センター・国見町徳江廃寺跡
・人員 13名
・内容 調査計画と方法・県内の旧石器文化・
県内の縄文文化・県内の弥生文化・県内の古墳文化・
土師器と須恵器・石器と土器の実測・里浜貝塚の調査について
・実習(国見町徳江廃寺跡発掘調
査)
2)埋蔵文化財センター主催埋蔵文化財発掘技術者研修
・石造物調査課程 60年6月4日〜6月6日
小野佳秀 (財)いわき市教育文化事業団
生江芳徳 磐梯町教育委員会
・写真測定課程 60年4月18日〜4月27目
長島雄一 (財)福島県文化センター遺跡調査課
・縄文時代遺跡調査課程 60年5月10日〜5月21日
本間宏一 (財)福島県文化センター遺跡調査課
・埋蔵文化財基礎課程 60年6月14日〜6月20日
小池昭一 会津坂下町教育委員会
・環境考古課程 61年3月7日〜3月26日
松本 茂 (財)福島県文化センター遺跡調査課
(5)埋蔵文化財保護の普及活動
1)発掘調査報告書の刊行
・真野ダム関連遺跡発掘調査報告8
・母畑地区遺跡発掘調査報告20・21
・母畑地区遺跡分布調査報告10
・矢吹地区遺跡分布調査報告6
・国営会津農業水利事業関連遺跡調査報告4
・一般国道113号バイパス関連遺跡発掘調査報2
・関和久上町遺跡4
(6)重要遺跡基本資料整備事業
昭和60年度からめ5か年事業であり、遺跡周知事業で確
認された遺跡のなかから重要遺跡をとりあげ、保護のため
の基本的な資料を整備した。本年度は浜通り地方を調査対
象に、63遺跡の立地、範囲、性格、発掘調査等の成果を示
す航空写真や記録類を収集し整備した。
(7)県内の発掘調査の状況
発掘調査(分布調査を含む)の原因別・方部別件数は、
表のとおりである。原因では相変らず農地開発・土地開発
土木工事が上位を占めており、方部別では相双地方の増加
が目立つが、これは、相馬地域開発事業に伴う発掘調査が
本格化されたことによる。
昭和60年度発掘調査件数(60年3月末現在)
調査の原因/方部 県北 県中 県南 会津 南会津 相双 いわき 計 農地開発(国・県・団体) 1 51 10 22 1 85 〃 (個 人) 都 市 計 画 等 2 2 1 5 道 路 建 設 3 2 5 1 4 3 18 土地開発等土木工事 2 5 38 3 48 宅 地 造 成 3 1 4 1 1 10 環 境 整 備 重要遺跡確認 1 1 1 1 1 5 市町村史編さん 1 1 4 6 学 術 調 査 1 2 1 4 そ の 他 計 12 63 11 34 3 49 9 181
4 文化財保存助成の充実
文化財の管理、修理、防災、史跡の公有化及び埋蔵文化財保存調査に対し、次のとおり、助成を行った。
ア国指定等 単位:千円
事 業 区 分 補助事業者 名 称 種 別 事 業 内 容 金 額 総 額 国 県 市町村 地元 建造物保存修理 勝福寺 勝福寺観音堂 重 文 解体修理 60,000 48,000 4,000 4,000 4,000 建 造 物
防災施設等福生寺 福生寺観音堂 〃 消火栓設備 9,000 6,750 750 750 750 記念物保存修理 田島町 駒止湿原 天然
記念物木道修理 3,740 1,870 620 1,250 ― 〃 小高町 薬師堂石仏 史 跡 石仏修理 5,500 2,750 910 1,840 ―