教育年報1986年(S61)-162/213page
養護教育センター
第1節 概 要
養護教育センターは、本県養護教育の振興と充実を図るこ
とを目的として、昭和61年4月1日に開所し、心身障害児の
教育相談、養護教育関係教職員の研修、養護教育に関する専
門的事項の調査研究、養護教育に関する図書・資料の収集と
提供、養護教育の理解・啓発のための資料の作成と広報等に
関する事業を推進してきた。
1 開 所 式
養護教育センターは、昭和56年度県政重点施策視点対応事
業として、県心身障害児総合療育センターと機能連携を図れ
るよう整備することに決定し、基本構想検討委員会を設置し
て、その目的、性格、機能、規模、施設、組織人員等につい
て検討を重ね、昭和59年7月7日着工、昭和61年3月25日に
第一期工事が竣工し、4月1日から事業を開始した。
開所式は、4月19日(土)午前10時から、養護教育センター図
書資料室において、角田道子教育委員長をはじめ、関係者33
名の出席のもとに挙行され、引き続き教育委員長、教育長、
養護教育センター所長らによるテープカット等が行われた。
2 教育相談事業
心身に障害が認められるか、又はその疑いのある幼児・児
童生徒を対象に、養育、学習指導、就学、進路等について、
保護者や学校、幼稚園、保育所、市町村教育委員会からの相
談に対応し、その解決のために必要があれば、嘱託医(小児
科、眼科、耳鼻咽喉科、神経精神科、整形外科)と連携して
検査・観察・診断等を行い指導援助を実施した。また、本県
の広い地理的条件を考慮して、県北(県立聾学校福島分校)
会津(同会津分校)、浜通り(同平分校)に地域相談室を設置
するとともに、心身障害児巡回就学相談を県内10会場で実施
した。
なお、この1年間の相談総件数は)延べで1,269件であった。
3 教職員研修事業
養護教育セン夕ーは、養護教育関係教職員を対象として、
専門職としての資質能力の向上を図るために、第三次福島県
長期総合教育計画に基づく研修計画のうち、各種障害児教育
に関する専門的内容についての研修事業を実施した。
本年度の研修の企画運営に当たっては、各講座の特性を考
慮して、継続的、系統的、発展的視野からできるだけ現実的
な教育実践に直結した内容・方法を取り上げ、教育活動を展
開するうえで必要な専門的知識・技能を重点的に習得し、専
門的な資質能力の向上が図れるように努めた。
本年度実施した研修講座は17講座で開設日数は51日、研修
人員は273名、研修延べ人員は819名となっている。
4 教育調査・研究事業
養護教育センターに課せられた研究機関としての役割と使
命を達成するため、本県が当面している養護教育振興上の課
題及び学校における教育実践上の具体的課題と関連する研究
主題を設定し、所員並びに学校関係者の協力を得ながら、次
の研究を進めた。
1) 共同研究「心身障害児の適正就学の進め方に関する研究
一実態調査と教育相談を通して一」、第1年次(2年継続研究)、
2) プロジェクトチームによる研究「コミュニケーション行動
の向上に関する研究一いわゆることばを持たない子供のコミ
ュニケーション行動の高次化を図る教材・教具を中心に一」、
第1年次(2年継続研究)、また、教育相談及び研修講座の内
容、方法の改善充実を図るため、所員一人一人が担当障害分
野にかかわる自己の研究課題を実証的に調査・研究する個人、
研究も進めてきた。
これらの研究成果は、研究紀要第1号として刊行し、学校
及び教育関係機関に配布して普及を図った。なお、養護教育
課、教育センター及び聾学校・養護学校等の関係職員の出席
のもと、昭和62年2月16日(月)に、第1回研究報告会を開催し
た。
5 教育図書・資料の収集・提供事業
養護教育の振興・充実に役立つ情報・資料を県内教職員に
提供するため、養護教育関係の専門図書・資料の収集・整理
を行い、養護教育担当教員等の利用に供した。なお、開所時
に購入した養護教育関係図書は、4,415冊で、分類・整理が済
み、11月1日より貸し出しを開始した。
6 広報・啓発事業
養護教育センターの事業内容及び所員による調査・研究の
成果等を広報するため、所報「養護教育」を年間5回刊行し
たのをはじめ、研究紀要、広報パンフレット等を学校・教育
機関等に送付して、養護教育の普及を図るとともに、「教育福
島」、「月刊ふくしま」、テレビ、新聞等をとおして、広く県民
の養護教育に対する理解と認識を深め、人間性を重視した学
校教育を推進するための援助に努めた。
第2節 心身障害児の教育相談事
業
心身に障害をもつ就学前幼児、学齢児童・生徒に関する教
育相談として、障害の種類や程度に応じた適切な教育措置が
とられるよう、専門的かつ総合的観点から実施してきた。
1 相 談対象
心身に障害が認められるか、又はその疑いのある幼児、児
童・生徒が相談対象であり、障害の種類は次の通りである。