教育年報1986年(S61)-166/213page

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 の適正就学の実情を明らかにするとともに、適正就学の望

 ましいあり方、進め方を探るものとする。

(3) 研究の概要(第1年次)

 1) 心身障害児の適応状況に関する予備調査

   県中教育事務所管内の小学校161校から無作為抽出し

  た50校の通常学級及び特殊学級に在籍する心身障害児

  335名について、学習、生活、集団参加、対人関係、遊

  び、コミュニケーション等の面からみた適応状況を調査

  した。

 2) 教育相談

   就学相談のため来所した事例の相談を進め、今後の適

  切な就学相談の方向等を考察した。また、相談時の面接

  項目及び相談児の発達チェック項目の検討を進めた。

 2 プロジェクトチームによる研究(2

  年継続)

(1) 研究テーマ

  コミュニケーション行動の向上に関する教材・教具の工

 夫一いわゆることばを持たない子供のコミュニケーション

 行動の高次化を図る教材・教具を中心に一

(2) 研究の主旨

  有意味語を有しない子供の行動体制の拡大、分化を促進

 させるには、言語行動の形成が不可欠の要件である。

 そこで、音声言語の習得に困難性を持つ子供に対し、各

 々の個体特性と経歴特性に即応した信号系活動の促進とよ

 り高次な信号系の習得を助ける指導内容・方法、特に教材

 教具の工夫に焦点を当てた実践的研究を行い、その有効性

 を検討する。

(3) 研究の概要(第1年次)

 1) 幾何図形による等価変換操作学習の教材・教具

   視線、指差し、発声等の自成レベルの伝達手段しか有

  しないが、音声による簡単な単語の受容ができる一精神

  薄弱を伴う肢体不自由児に対し、より確実な伝達手段と

  して、ひらがな文字の習得が必要であると考えた。そこ

  で、ひらがな文字学習の前段階に当たる幾何図形に関す

  る弁別学習を、見本合わせ法により行った。

2) 文字の弁別学習のための教材・教具

   音声言語での理解ができ、発声、発語器官に異常を認

  めないが、音声言語による発信が困難な一言語発達遅滞

  児に確実な伝達手段としてのひらがな文字の学習を行っ

  た。本事例は、簡単な色、形や線分の長短、位置等の弁

  別ができていたので、ひらがな文字の弁別から始め、事

  物と文字を対応させながらの弁別学習を、文字チップや

  2〜3音節の単語カードを手がかりとして進めた。

 3 個 人 研 究

(1) 長期研究員による研究

研究テーマ 研究内容
精神薄弱を伴う肢体 視線、指差し等の自成レベルの伝達
不自由児のコミュニ 手段のみで有意味語を持たない事例
ケーション行動形成 に、より確実な伝達手段を獲得させ
に関する一考察 るため、象徴的身振りによる交信の
(佐藤敏彦) 分化及びひらがな文字の習得指導を
  進めた。
精神薄弱を伴う聴覚 行動調整が難しく、行動の拡大が時
障害児のコミュニケ 間的、空間的に制限された状態にあ
一ション行動の高次 る事例に、日常生活場面での援助活
化に関する事例的考 動を通し象徴的身振り等によるコミ
ュニケーション行動の形成を図った。
(大谷充浩)  

(2) 所員による研究

  教育相談及び研修講座の内容を充実させるため、所員各

 々が各担当障害分野ごとに研究テーマを持ち個人研究を進

 めてきた。

第5節 教育図書・資料の収集・

      提供事業

 1 教育図書6資料の収集・整理

 本年度は、養護教育センターにおける研修・研究・相談事

業の充実と、県内各学校等における研究活動及び教育実践に

寄与できるように、教育図書・資料の収集・整理に努め、心

身障害児教育に関する図書・資料センター的な機能を果たす

よう努力した。

(1) 教育図書の収集・整理

  教育図書については、養護教育センターの開所にあたり

 4,415冊を、前年度末までに購入した。その種類は、養護

 教育に関する専門図書の充実に努めた結果、心身障害児の

 教育関係図書が2,750冊、医学関係図書か320冊、心理関

 係図書が130冊、その他の図書が1,200冊となっている。

  本年度は、これらの図書の分類・整理に取りかかり、N

 DCの分類基準に従って図書台帳類の整理と図書の分類・

 配架に努め、11月より一般への貸し出し業務を開始した。

  また、分類カードの作成により、図書の検索がいっそう

 しやすくなった。

(2) 教育関係定期刊行物の収集・整理

  教育関係定期刊行物は、県費購入及び寄贈などにより、

 35種類で345冊に達した。

(3) 教育資料の収集・整理

  教育資料は、全国の関係機関や県内の教育機関の協力に

 より、紀要・研究報告書などの収集に努めているが、まだ

 数は少ない。


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