教育年報1987年(S62)-172/225page
○スクールフォーカスト研修の考えを深めながら、研修の全
体構想を明確にして研修ニーズを集約し、分担を確認する。
○現職教育研修部・委員会の仕事内容を明確にし、各自の考
えが大切にされるような研修推進の手続きを確立する。
○学校経営全体を通してリーダーシップが発揮できるように
配慮し、研修意欲がいっそう高まる研修組織を工夫する。
<実施の段階>
○研修分担を明確にし、個人研修を位置づけ、協働意欲を高
めて研修推進できる体制づくりに努力する。
○研修成果の活用と校外研修の伝達を意図的に位置づけ、相
互啓発と研修内容の共有化を図る工夫改善をする。
<評価の段階>
○形成的評価やクループ相互評価等、多様な評価方法を取り
入れた校内研修評価計画を整備し、意図的な実施に努める。
2 基礎・基本の定着と個性の伸長に関する
研究 学習指導部 (第1年次)
研究主題に基づく理論構築と研究仮説設定のため、県下小
中高等学校51校(規模別5%抽出)1,085名と児童生徒1,728
名を対象に、学習指導の現状と意識の実態調査を行った。調
査結果から、「基礎・基本の定着と個性の伸長」に対する取
り組みの概要が、次のように要約できた。
〔学習指導の現状〕
一斉指導を中心に行われているか、個別指導もかなり組み
込まれている。基礎・基本の内容に、「関心・態度」まで含
めて考えている教師は多いか、指導にとまどいを示している。
〔個人差に応じた指導の現状〕
個人差に応じた指導の必要性は強く感じているが、その対
応には極めて困難であると感じている。特に「見方や考え力」
についての意識の低さは、児童生徒の実態も同様である。
〔個別化・個性化をめざす学習形態〕
「学習コース」を選択するなど、一人一人が目標を設定し
て進める学習については、現段階では困難さがうかがえる。
〔教育システム〕
ティーム・ティーチングによる指導の必要性は強く感して
いるが、はとんど行われていない。
〔基礎・基本の定着と個性の伸長〕
小中学校教師の多くは、基礎・基本と個性伸長を段階的と
とらえ、高等学校教師の多くは、同時的と考えている。
3 自己教育力を育成するための学校教育の
改善に関する実践的研究
科学技術教育部 (第2年次)
第1年次は、自己教育力を育てる評定尺度を設定し、集団
としての指導のあり方を追究した。第2年次は、県下小中高
等学校10校の協力を得て、個に視点を当てた指導のあり方を
研究した。研究概要をまとめると、次のようになる。
1 12要素からなる評定尺度で調べると陥没要素が分かる。
2 陥没要素を補完する手だてを考え指導すると向上する。
3 YG性格検査や環境条件を考慮すると有効性が高まった。
○ 不安傾向の強い児童生徒には、長所を認め賞賛したり
あたたかい雰囲気で自信を持たせたりするとよい。
○ 情緒的には安定していても意欲に欠ける児童生徒には
責任を持たせ、揺さぶり、成就感を味わわせるとよい。
○ 内向的で感情をあまり表さない児童生徒には、発表の
機会を多く与え、自己表現させ、外向性を高めるとよい。
4 自己教育力は、自他を意識する中で向上していく。
5 自己教育力は、学級集団やグループ活動なと、集団との
かかわりの中で育成されるべきものと考えられる。
4 事例を通した教育相談の進め方に関する
研究
一非社会的行動をもつ児童生徒への心理的な指導援助一
教育相談部 (第2年次)
第1年次は、非社会的行動をもつ児童生徒に対し、より的
確で効果的な教育相談を進める要点11項目を明らかにした。
第2年次は、要点11項目の「手引」を作成し、県内小中高等
学校の事例を通して検証した結果、次のことが明らかになっ
た。
1 要点11項目によって指導援助に当たった結果、次のこと
がらが特に非社会的行動の改善に有効にはたらいた。
1)共感的に理解すること。 2)意図的に早期発見すること。
3)本人や家族とラポール(リレーション)を形成すること。
4)多次元に資料収集すること。5)指導援助体制を整えること。
6)専門機関と連携すること。 7)素因にアプローチすること。
8)家族にも気づかせること。 9) 受容できる集団にすること。
10) フィードバックすること。 11) 改善後も様子を見守ること。
2 要点11項目は、教師自身の指導力の向上にも役立った。
第4節教育相談
対象別延べ人数
種別/区分 幼 小 中 高 一般 教員 計 来所相談
移動相談104 220 268 118 1,075 209 1,994 電話相談 27 309 683 396 21 8 1,444
主訴別延べ人数
種別/区分 知能学業 性格行動 身体反応 進路適性 教育一般 計 来所相談
移動相談152 1,658 81 20 83 1,994 電話相談 8 1,285 53 21 77 1,444
地区別延べ人数
県北 県中 県南 会津 南会津 いわき 相双 計 1,413 207 86 72 0 38 178 1,994