第3節 教育研究
1 学校の経営過程における現職教育のあり
方に関する研究
学校経営部 (第2年次)
本年度は、昨年の予備調査結果から現在県下各校の校内研
修推進で最も改善充実が必要と思われる11の課題を確定し、
その解決改善を図ることを目的とした「自己啓発を促す校内
研修のあり方・すすめ方」の試案づくりをした。
作成した試案内容は次のとおりである。
<校内研修推進計画の段階から>
1) 個人のニーズを生かした研修課題の集約のしかた。
2) 研修課題を生かした研究主題設定のしかた。
3) 研修意欲を促す研修組織のあり方・すすめ方。
4) 到達目標達成までの過程が明確な年間推進計画のつくり方。
<校内研修実施の段階から>
5) 研修の成果をあげる研修時間の確保と運営のあり方・すす
め方。
6) 研修意欲を高め、授業の質的改善を図る授業研究のあり方
・すすめ方。
7) 研究主題到達までの資料の収集・活用のあり方・すすめ方。
8) 協働意欲を高めるリーダーの援助指導のあり方・すすめ方。
<校内研修評価の段階から〉
9) 研究推進における形成的評価のあり方・すすめ方。
10) 研究推進の各段階における総括的評価のあり方・すすめ方。
11) 次年度に生かす評価結果活用のあり方・すすめ方。
なお、次年度は、研究協力校の実践を通して修正し、「校
内研修ハンドブック」としてまとめる予定である。
2 基礎・基本の定着と個性の伸長に関する
研究
学習指導部 (第2年次)
本研究は、学習指導の改善の視点から、児童生徒の個性重
視の原則に立ち、基礎的・基本的な内容を身につけさせる過
程を通して、更にそれを基盤としながら、一人一人の個性を
生かし、伸ばす学習指導の在り方を追究するものである。
本年度は、前年度の実態調査を踏まえ、「基礎・基本」と
「個性」について定義すると共に、全体仮説を設定した。そ
の全体仮説を受けて教科ごとの仮説を設定し、小学校では国
語科・社会科を、中学校では数学科を対象に研究協力校にお
いて、単元を通して実践研究を進めた。実践に当たっては、
基礎的・基本的な内容と個性を切り離すことなく、それぞれ
を有機的に関連させながら、基礎的・基本的な内容を定着し、
個性を伸長させるように学習活動を展開した。
その結果、お互いの「よさ」を見つけ認め合うことの繰り
返しの中から、児童生徒一人一人が学ぶことに喜びを見いだ
すことができ、学力の向上が見られたばかりでなく、グルー
プひいては学級全体が今までになく互いに協力しあう雰囲気
も出てきた。
今後は、基礎的・基本的な内容を定着させ、「よさ」を生
かすための手だてをさらに具体化し、その手だてが適切に作
用しているかどうかを確かめる方法についていっそう工夫し
ながら主題を追究する。
3 情報活用能力の育成に関する研究
科学技術教育部 (第1年次)
高度情報社会の中で、児童・生徒が主体的に情報を選択し
活用する能力を育成する方策の追究を目指して研究に着手し
た。第1年次は、まず情報活用に関する基礎調査を実施し、
地域・学年・校種別に児童・生徒をとりまく情報の種類や利
用状況を調べ、その結果を基に情報活用能力育成プロセス
(モデル)を作成した。これは、問題の発見から解決・評価
までの過程を情報活用という観点から構造化したもので、こ
のプロセスを踏まえながら更に検証授業 (中学校2年学級指
導)を試行・実践した。以下に、主な研究の成果をまとめる。
1) 情報活用能力の育成状況を測定するため、12項目から成
る評定尺度1 (教師の観察評価)と子どもの情意的側面を
含めた変容を客観的に評価する評定尺度2 (子どもの自己
評価)とについて、評価の有効性が確認できた。
2) 情報手段との関連を密接にした情報活用能力育成プロセ
スの学習過程は、指導計画を作成するための重要な指標に
なるものである。
3) 授業では経験のない生徒がパソコンの使用に極めて好感
を示したが、更に機器導入の仕方を検討すべきである。
4 事例を通した教育相談の進め方に関する
研究 一予防的な指導援助一
教育相談部 (第1年次)
この研究のねらいは、教育相談において、より的確で効果
的な「予防的な指導援助のあり方」を確立することである。
そのために、予防的な指導援助のとらえ方を明確にし、教
育現場に調査と事例の収集を行った。調査と収集した事例並
びに当教育相談部での相談事例を基に、予防的な指導援助の
要点と基本的な対応を帰納的に追求した。また、以上により
集約した要点と基本的な対応が、予防的な指導援助に効果的
であることを理論的に説明した。
一連の研究を通して、以下のことを明らかにした。
(1) 予防的な指導援助とは、問題行動を起こすことが予測さ
れると診断された児童生徒、または、現在の行為や行動が
問題行動に向かって増幅されつつあると診断された児童生
徒に対して、問題行動につながる素因や誘因を改善、解決
または除去することである。
また、すべての児童生徒に対して問題行動を起こさない
ための意識づけを図り、問題行動の発生を予防する指導援
助である。
(2) 予防的な指導援助の主な要点としての内容は、問題行動
を未然に防ごうとする指導援助者の姿勢を基盤として、子
供の理解を積極的に図り、問題行動の内容の理解を基に子
供のさ細な問題点に気づくことである。その上で、資料収
集、予測診断、予防仮説を段階的に踏まえ、子供や家庭と
の密接なラポール形成を図ると共に学級、学校の環境を整