養護教育センター
第1節 概要
養護教育センターは、本県養護教育の振興と充実を図るこ
とを目的として、昭和61年4月1日に開所し、心身障害児の
教育相談、養護教育関係教職員の研修、養護教育に関する事
項の調査研究、養護教育に関する図書資料の収集と提供、養
護教育の理解・啓発のための資料の作成と広報等に関する事
業を推進してきた。
1 教育相談事業
心身に障害が認められるか、又はその疑いのある幼児、児
童生徒を対象に、養育、学習指導、就学及び進路等について
保護者や学校、幼稚園、保育所、市町村教育委員会からの相
談に対応し、その解決のために必要があれば、嘱託医(小児
科、眼科、耳鼻咽喉科、精神神経科、整形外科)と連携して
検査・観察・診断等を行い、指導援助を実施した。また、本
県の広い地理的条件を考慮して、県北(県立聾学校福島分校)
会津(同会津分校)、浜通り(同平分校)に地域相談室を設
置するとともに、心身障害児巡回就学相談を県内5会場で実
施した。
なお、この1年間の相談総件数は、延べで2,061件であっ
た。
2 教職員研修事業
養護教育センターは、養護教育関係教職員を対象として、
専門職としての資質能力の向上を図るために、第3次福島県
長期総合教育計画に基づく研修計画のうち、各種障害児教育
に関する専門的内容についての研修事業を実施した。
本年度の研修の企画運営に当たっては、各講座の特性を考
慮して、継続的、系統的、発展的視野からできるだけ現実的
な教育実践に直結した内容・方法を取り上げ、教育活動の展
開状況に対処するうえで必要な専門的知識・技能を重点的に
習得し、専門的な資質能力の向上を図るよう努めた。
本年度実施した研修講座は17講座で、開設日数は51日、研
修人員は272名、研修延べ人員は816名であった。
3 教育調査・研究事業
養護教育センターに課せられた研究機関としての役割と使
命を達成するため、本県が当面している養護教育振興上の課
題及び学校における教育実践上の具体的課題と関連する研究
主題を設定し、所員並びに学校関係者の協力を得なから、次
の研究を行った。
○ 共同研究「心身障害児の指導援助のための実態把握の方
法に関する研究一実態把握の視点と方法一」第1年
次(3年継続研究)
また、所員一人一人が担当する障害分野について個人研究
を行い、これらの研究成果は、教育相談及び研修講座の内容
・方法の改善充実に反映させるとともに、研究紀要第3号と
して刊行した。
なお、養護教育課、盲・聾・養護学校及び小・中学校特殊
学級等の関係教員の出席のもと、平成元年2月16日(木)に、
第3回研究報告会を実施した。
4 教育図書・資料の収集・提供事業
養護教育の振興充実に役立つ情報・資料を県内教職員等に
提供するため、養護教育関係の専門図書・資料の収集・整理
を行い、養護教育担当教員等の利用に供した。なお、養護教
育関係図書は、4,725冊、月刊・季刊誌は33種類となってい
る。
5 広報・啓発事業
養護教育センターの事業内容及び所員による調査・研究の
成果等を広報するため、所報「養護教育」を年間5回発行し
たのをはじめ、研究紀要、心身障害児ハンドブック「自閉症」
(第1集)及び広報パンフレット等を学校、教育機関等に配
布して、養護教育の普及を図るとともに、広報誌「教育福島」
テレビ、新聞等をとおして、広く県民の養護教育に対する理
解と認識を深め、人間性を重視した学校教育を推進するため
の援助に努めた。
第2節 心身障害児の教育相談事業
心身に障害を持つ就学前幼児、学齢児童生徒に関する教育
相談として、障害の種類や程度に応じた適切な教育措置がと
られるよう、専門的かつ総合的観点から実施してきた。
1 相談対象
心身に障害が認められるか、又はその疑いのある幼児、児
童生徒が相談対象であり、障害の種類は次のとおりである。
○ 視覚障害 ○ 病弱・身体虚弱
○ 聴覚障害 ○ 言語障害
○ 精神薄弱 ○ 情緒障害
○ 肢体不自由 ○ 重複障害
2 形態
(1) 来所相談・電話相談
電話、はがき等の申し込みにより、来所日時をあらかじ
め調整のうえ通知し、相談者の来所により行うものであり
相談の内容によっては電話だけによる相談も行った。
(2) 要請相談
市町村教育委員会、学校等からの要請により、当該機関
の設定する場所に出向いて実施した。
(3) 巡回就学相談
1) 事業内容
心身障害幼児・児童の発育状況や教育措置に対する正
しい認識を得させるため、5教育事務所管内において巡
回就学相談を実施し、適正就学に関する啓発活動の充実