教育年報1989年(H1)-047/237page

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(2) へき地教育の振興策

  へき地の学校は、概して小規模であり、かつ分校も多い

 ため複式学級が多い。従って教育条件の改善充実を図ると

 ともに、へき地学校に優秀な教員を確保することが緊要で

 ある。

 1) へき地教育の人事行政

    「平成元年度末人事に関する方針」1の(2)において、

   「教育の機会均等の理念に立脚し、各学校の教職員組織

  の充実と均衡を図るとともに、教育庁職員組織の充実を

  図る」ことを基本方針としてかかげ、これを受けて平成

  元年度末小・中・養護学校教職員人事実施要項の2にお

  いて「交流のための区分を設定し、すべての教職員を在

  職期間中に都市、平地、へき地の勤務を公平に経験させ

  る」こととし、へき地と各地域との計画的な交流の推進

  を図った。

   また、へき地派遣制度によるへき地派遣、へき地学校

  勤務で優秀な実績をあげた者の管理職への抜てきなどの

  施策もあわせて実施した。

  ア へき地交流

   (ア) 地域区分

     県内の地域区分を次のとおりとする。

     ○ 特A地域 旧4市(福島、郡山、若松、平)

            の学校

     ○ A地域 市、主要町村の学校

     ○ B地域 特A、A及びC地域以外の学校

     ○ C地域 へき地の学校(人事委員会、教育

            事務所の各指定学校)

   (イ) 交流基準

    (ア) へき地学校勤務については次の基準による。

     ○ 教員については、その在職期間中に別表1によ

      る期間勤務する。ただし、会津ブロック外出身

      者の会津ブロックへき地学校勤務年数は、別表

      2による。

     ○ 昭和28年度以降採用者のうちで、へき地学校勤

      務の経験のない者については、計画的にへき地

      学校へ転出させる。ただし、へき地学校に勤務

      すべき該当者が少ない場合においては、採用年

      度にかかわらず計画的にへき地学校に転出させ

      る。

     ○ すでにへき地経験を有する者が、再び相当期間

      へき地学校に勤務し、都市又は平地の学校に転

      出を希望する者については、優先的に考慮する。

別表1 (教員のへき地校勤務年数)

級別  教育事務所
指定の へき地
人事委員会指定へき地
特地 準1級地 1級地 2級地 3級地 4級地 5級地
勤務年数 4年以上 3年以上 2年以上 

別表2 (教員のへき地校勤務年数)
会津ブロック外出身者
会津ブロックヘき地
勤務年数
へき地級地別
教育事務所指定 特地、準1級地 1級地以上
3年以上 2年以上

 (イ) へき地派遣制度

   へき地校勤務満了教員で、都市又は平地の学校に勤

  務する教員のうちから、成績優秀な中堅教員を厳選し

  て計画的にへき地学校に派遣し、その教育実践をとお

  してへき地教育振興に役立てるとともに、当該教員が

  相当期間勤務し、その勤務成績が良好の場合は、抜て

  き人事等の優遇措置を講ずることとした。相当期間と

  は3年以上である。

   昭和59年度末からは特に東白川地区、南会津地区を

  重点地区に設定し、教育組織の充実強化を図った。

2) へき地学校教職員の経済的優遇策

 ア 旅費の配分策定資料として、へき地学校の場合は、

  教員1人当たり4,000円の研修旅費を配分し優遇して

  いる。

 イ 赴任旅費の支給

   4、5級の高度へき地の学校に赴任する新採用教員

  に対する赴任旅費を支給している。

 ウ へき地手当及びへき地手当に準ずる手当の支給

   人事委員会指定のへき地学校に勤務する教職員に対

  し、給料、教職調整額及び扶養手当の合計額にこの級

  地に応じて、それぞれ4%、8%、12%、16%、20%、

  25%乗じて得た額が、へき地手当として毎月支給され

  る。

   また、このほかにへき地手当に準ずる手当及びへき

  地学校長期勤務手当が支給されている。

指定区分/勤務年数 1年以上
2年未満
2年以上
3年未満
3年以上
4年未満
4年以上
5級・4級 6月短縮 12月短縮    
3級・2級 3月短縮 9月短縮 12月短縮  
1級・準1級 3月短縮 6月短縮 9月短縮 12月短縮

 エ へき地教職員の特別昇給制度の実施

 3) へき地学校教職員の配置に対する特別措置

   へき地教育振興法第4条第2項に「都道府県は、へき

  地学校に勤務する教員及び職員の定員の決定について特

  別の考慮を払わなければならない」とあり、本県として

  もへき地学校教職員及び養護教員、事務職員等の配置に

  ついて特別措置を講じている。

(3) 今後の問題点

 1) へき地学校の教職員配置の改善を図ること。

   へき地学校の教職員の年齢構成からみて、中堅教員が

  少ない傾向にある。今後中堅教員を計画的にへき地に配

  置していく必要がある。

   また、へき地に勤務する教職員の優遇策や地元の受入

  れ態勢の整備充実にいっそう努力する必要がある。

 2) 都市・平地とへき地との人事交流を推進すること。

   へき地勤務未経験者を解消するため、これまでも計画

  的に平地、へき地の交流を推進してきたが、なお都市部

  に未経験者が多い。今後いっそう計画的、広域的な交流

  を推進する必要がある。

 3) 施設・設備の充実と学習指導法の改善を図ること。


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