教育年報1990年(H2)-047/226page

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(2) へき地教育の振興策

  へき地の学校は、概して小規模であり、かつ分校も多い

 ため複式学級が多い。従って教育条件の改善充実を図ると

 ともに、へき地学校に優秀な教員を確保することが緊要で

 ある。

 1) へき地教育の人事行政

    「平成2年度末人事に関する方針」1の(2)において、

  「教育の機会均等の理念に立脚し、各学校の教職員組織

  の充実と均衡を図るとともに、教育庁職員組織の充実を

  図る」ことを基本方針としてかかげ、これを受けて平成

  2年度末小・中・養護学校教職員人事実施要項の2経お

  いて「交流のための区分を設定し、すべての教職員を在

  職期間中に都市、平地、へき地の勤務を公平に経験させ

  る」こととし、へき地と各地域との計画的な交流の推進

  を図った。

   また、へき地派遣制度によるへき地派遣、へき地学校

  勤務で優秀な実績をあげた者の管理職への抜てきなどの

  施策もあわせて実施した。

  ア へき地交流

   (ア) 地域区分

     県内の地域区分を次のとおりとする。

     ○ 特A地域 旧4市 (福島、郡山、若松、平)

            の学校

     ○ A地域市、主要町村の学校

     ○ B地域特A、A及びC地域以外の学校

     ○ C地域へき地の学校(人事委員会、教育

            事務所の各指定学校

   (イ) 交流基準

    (ア) へき地学校勤務については次の基準による。

     ○ 教員については、その在職期間中に別表1によ

      る期間勤務する。ただし、会津ブロック外出身

      者の会津ブロックへき地学校勤務年数は、別表

      2による。

     ○ 昭和28年度以降採用者のうちで、へき地学校勤

      務の経験のない者については、計画的にへき地

      学校へ転出させる。ただし、へき地学校に勤務

      すべき該当者が少ない場合においては、採用年

      度にかかわらず計画的にへき地学校に転出させ

      る。

     ○ すでにへき地経験を有する者が、再び相当期間

      へき地学校に勤務し、都市又は平地の学校に転

      出を希望する者については、優先的に考慮する。

別表1 (教員のへき地校勤務年数)

級別  教育事務所
指定のへき地
人事委員会指定へき地
特  地
準1級地
1級地 2級地 3級地 4級地 5級地
勤務年数 4年以上 3年以上 2年以上

別表2 (教員のへき地校勤務年数)
会津ブロック外出身者
の会津ブロックへき地
勤務年数
へ き 地 級 地 別
教育事務所指定 特地、準1級地 1級地以上
3年以上 2年以上

   (イ) へき地派遣制度

     へき地校勤務満了教員で、都市又は平地の学校

    に勤務する教員のうちから、成績優秀な中堅教員

    を厳選して計画的にへき地学校に派遣し、その教

    育実践をとおしてへき地教育振興に役立てるとと

    もに、当該教員が相当期間勤務し、その勤務成績

    が良好の場合は、抜てき人事等の優遇措置を講ず

    ることとした。相当期間とは3年以上である。

     昭和59年度末からは特に東白川地区、南会津地

    区を重点地区に設定し、教育組織の充実強化を図

    った。

2) へき地学校教職員の経済的優遇策

 ア 旅費の配分策定資料として、へき地学校の場合は、

  教員1人当たり4,000円の研修旅費を配分し優遇して

  いる。

 イ 赴任旅費の支給

   4・5級の高度へき地の学校に赴任する新採用教員

  に対する赴任旅費を支給している。

 ウ へき地手当及びへき地手当に準ずる手当の支給

   人事委員会指定のへき地学校に勤務する教職員に対

  し、給料、教職調整額及び扶養手当の合計額にこの級

  地に応じて、それぞれ4%、8%、12%、16%、20%、

  25%乗じて得た額が、へき地手当として毎月支給され

  る。

   また、このほかにへき地手当に準ずる手当及びへき

  地学校長長期勤務手当が支給されている。

 エ へき地教職員の特別昇給制度の実施

指定区分/
勤務年数
1年以上 2年以上 3年以上 4年以上
2年未満 3年未満 4年未満
5 級・4 級 6月短縮 12月短縮    
3 級・2 級 3月短縮 9月短縮 12月短縮  
1 級・準1級 3月短縮 6月短縮 9月短縮 12月短縮

 3) へき地学校教職員の配置に対する特別措置

   へき地教育振興法第4条第2項に「都道府県は、へき

  地学校に勤務する教員及び職員の定員の決定について特

  別の考慮を払わなければならない」とあり、本県として

  もへき地学校教職員及び養護教員、事務職員等の配置に

  ついて特別措置を講じている。

(3) 今後の問題点

 1) へき地学校の教職員配置の改善を図ること。

   へき地学校の教職員の年齢構成からみて、中堅教員が

  少ない傾向にある。今後中堅教員を計画的にへき地に配

  置していく必要かある。

   また、へき地に勤務する教職員の優遇策や地元の受入

  れ態勢の整備充実にいっそう努力する必要かある。

 2) 都市・平地とへき地との人事交流を推進すること。

   へき地勤務未経験者を解消するため、これまでも計画

  的に平地、へき地の交流を推進してきたか、なお都市部

  に未経験者が多い。今後いっそう計画的、広域的な交流

  を推進する必要がある。


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