(2) へき地教育の振興策
へき地の学校は、概して小規模であり、かつ分校も多い
ため複式学級が多い。従って教育条件の改善充実を図ると
ともに、へき地学校に優秀な教員を確保することが緊要で
ある。
1) へき地教育の人事行政
「平成2年度末人事に関する方針」1の(2)において、
「教育の機会均等の理念に立脚し、各学校の教職員組織
の充実と均衡を図るとともに、教育庁職員組織の充実を
図る」ことを基本方針としてかかげ、これを受けて平成
2年度末小・中・養護学校教職員人事実施要項の2経お
いて「交流のための区分を設定し、すべての教職員を在
職期間中に都市、平地、へき地の勤務を公平に経験させ
る」こととし、へき地と各地域との計画的な交流の推進
を図った。
また、へき地派遣制度によるへき地派遣、へき地学校
勤務で優秀な実績をあげた者の管理職への抜てきなどの
施策もあわせて実施した。
ア へき地交流
(ア) 地域区分
県内の地域区分を次のとおりとする。
○ 特A地域 旧4市 (福島、郡山、若松、平)
の学校
○ A地域市、主要町村の学校
○ B地域特A、A及びC地域以外の学校
○ C地域へき地の学校(人事委員会、教育
事務所の各指定学校
(イ) 交流基準
(ア) へき地学校勤務については次の基準による。
○ 教員については、その在職期間中に別表1によ
る期間勤務する。ただし、会津ブロック外出身
者の会津ブロックへき地学校勤務年数は、別表
2による。
○ 昭和28年度以降採用者のうちで、へき地学校勤
務の経験のない者については、計画的にへき地
学校へ転出させる。ただし、へき地学校に勤務
すべき該当者が少ない場合においては、採用年
度にかかわらず計画的にへき地学校に転出させ
る。
○ すでにへき地経験を有する者が、再び相当期間
へき地学校に勤務し、都市又は平地の学校に転
出を希望する者については、優先的に考慮する。
別表1 (教員のへき地校勤務年数)
級別 教育事務所
指定のへき地人事委員会指定へき地 特 地
準1級地1級地 2級地 3級地 4級地 5級地 勤務年数 4年以上 3年以上 2年以上
別表2 (教員のへき地校勤務年数)
会津ブロック外出身者
の会津ブロックへき地
勤務年数へ き 地 級 地 別 教育事務所指定 特地、準1級地 1級地以上 3年以上 2年以上
(イ) へき地派遣制度
へき地校勤務満了教員で、都市又は平地の学校
に勤務する教員のうちから、成績優秀な中堅教員
を厳選して計画的にへき地学校に派遣し、その教
育実践をとおしてへき地教育振興に役立てるとと
もに、当該教員が相当期間勤務し、その勤務成績
が良好の場合は、抜てき人事等の優遇措置を講ず
ることとした。相当期間とは3年以上である。
昭和59年度末からは特に東白川地区、南会津地
区を重点地区に設定し、教育組織の充実強化を図
った。
2) へき地学校教職員の経済的優遇策
ア 旅費の配分策定資料として、へき地学校の場合は、
教員1人当たり4,000円の研修旅費を配分し優遇して
いる。
イ 赴任旅費の支給
4・5級の高度へき地の学校に赴任する新採用教員
に対する赴任旅費を支給している。
ウ へき地手当及びへき地手当に準ずる手当の支給
人事委員会指定のへき地学校に勤務する教職員に対
し、給料、教職調整額及び扶養手当の合計額にこの級
地に応じて、それぞれ4%、8%、12%、16%、20%、
25%乗じて得た額が、へき地手当として毎月支給され
る。
また、このほかにへき地手当に準ずる手当及びへき
地学校長長期勤務手当が支給されている。
エ へき地教職員の特別昇給制度の実施
指定区分/
勤務年数1年以上 2年以上 3年以上 4年以上 2年未満 3年未満 4年未満 5 級・4 級 6月短縮 12月短縮 3 級・2 級 3月短縮 9月短縮 12月短縮 1 級・準1級 3月短縮 6月短縮 9月短縮 12月短縮
3) へき地学校教職員の配置に対する特別措置
へき地教育振興法第4条第2項に「都道府県は、へき
地学校に勤務する教員及び職員の定員の決定について特
別の考慮を払わなければならない」とあり、本県として
もへき地学校教職員及び養護教員、事務職員等の配置に
ついて特別措置を講じている。
(3) 今後の問題点
1) へき地学校の教職員配置の改善を図ること。
へき地学校の教職員の年齢構成からみて、中堅教員が
少ない傾向にある。今後中堅教員を計画的にへき地に配
置していく必要かある。
また、へき地に勤務する教職員の優遇策や地元の受入
れ態勢の整備充実にいっそう努力する必要かある。
2) 都市・平地とへき地との人事交流を推進すること。
へき地勤務未経験者を解消するため、これまでも計画
的に平地、へき地の交流を推進してきたか、なお都市部
に未経験者が多い。今後いっそう計画的、広域的な交流
を推進する必要がある。