となった。また築地塀や規則性の高い建物配置などから、
上町遺跡は白河郡衙の丁郡庁」として機能していた遺跡
であり、関和久遺跡は「正倉」としての役割を担ってい
ると考えられるに至った。また、上町遺跡南側の
福蔵地区からも建物跡・井戸跡などが検出されており、関和久
・上町両遺跡と密接に関わる地区であることが判明した。
(4) 埋蔵文化財保護体制充実のための研修
1) 第19回福島県埋蔵文化財発掘技術者講習会
○期間 平成3年8月1日〜8月3日
○会場 白河市地域職業訓練センター
郡山市 猫田E遺跡
○人員 56名
○内容 ・開発と埋蔵文化財の保護
・遺跡発見から発掘調査まで
・講演 「埋蔵文化財の保護・活用における最
近の傾向と問題点」
文化庁文化財保護部記念物課
岡村道雄調査官
・発掘調査実習 猫田E遺跡(8月2日〜3日)
2) 奈良国立文化財研究所埋蔵文化財センター主催
埋蔵文化財発掘技術者等研修
ア 一般研修
○一般課程 平成3年7月2日〜8月9日
佐藤暢一郎 会津坂下町教育委員会
イ 専門研修
○遺跡探査課程 平成3年5月8日〜5月18日
末永成清 (財)いわき市教育文化事業団
○文化財写真課程 平成3年8月20日〜9月7日
白岩賢一郎 磐梯町教育委員会
○保存科学基礎課程 平成3年10月22日〜11月1日
菅野真一 (財)福島市振興公社
○水田遺跡調査課程 平成3年11年26日〜12月7日
斎藤義弘 (財)福島市振興公社
平野幸伸 会津若松市教育委員会
吉田秀享 (財)福島県文化センター
○縄文時代遺跡調査課程 平成4年1月8日〜21日
安中浩 (財)福島市振興公社
ウ 特別研修
○城郭調査課程 平成4年2月13日〜2月18日
山岸英夫 (財)福島県文化センター
(5) 埋蔵文化財保護の普及活動
◎埋蔵文化財調査報告書の刊行
1) 母畑地区遺跡分布調査報告 16
2) 矢吹地区遺跡発掘調査報告 9・10
3) 国営会津農業水利事業関連遺跡調査報告 11・12・
13・14
4) 三春ダム関連遺跡分布調査報告 2
5) 東北横断自動車道遺跡分布調査報告 3
6) 東北横断自動車道遺跡発掘調査報告 12・13・
14
7) 原町火力発電所関連遺跡調査 2
8) 福島空港関連遺跡発掘調査報告 4
9) 一般国道6号バイパス遺跡分布調整報告 1
10) 関和久上町遺跡 10
(6) 埋蔵文化財周知事業
平成3年度から平成6年度までの4カ年計画の事業であ
り、県下全域を対象として、より詳細な分布調査を実施し、
埋蔵文化財包蔵地の実態をより正確に把握し、その周知徹
底を図るとともに、文化財保護の基礎的資料として
「埋蔵文化財包蔵地分布図及び地名表」を整備する。
本年度は、県北・県南・南会津の3地区について実施し、
およそ3,500箇所の埋蔵文化財包蔵地を確認し、台帳等を
整備した。
(7) 県内の発掘調査状況
発掘調査(試掘調査を含む)の原因別・方部別件数は、
下表のとおりである。原因別では、農地開発・道路建設を
含む土地開発等土木工事が上位を占める。
平成3年度発掘調査件数
(平成4年3月)
県北 県中 県南 会津 南会津 相双 いわき 計 農業関係(国・県・団体) 12 14 1 7 34 都市計画等 17 2 2 1 1 23 道路建設 7 43 2 10 12 74 河川・ダム・空港 6 2 8 宅地造成等 5 13 5 1 6 3 33 学校建設 1 1 2 その他の建物 5 1 1 3 1 3 14 電気・ガス・水道等 9 9 ゴルフ場・土取り 6 1 4 2 13 その他 8 2 4 6 20 学術調査 1 1 3 2 1 1 9 計 55 75 15 29 4 43 18 239 発掘調査件数239件の内訳は、県教育委員会が実施したもの47件、市町村教育委員会が実施したもの192件です。なお、
事前協議のため試掘調査は、140件です。