教育年報1993年(H5)-001/235page

[検索] [目次] [PDF] [前][次]


第1章 総 説

 第1節 教育行政の概観

 平成5年度は、国の文教施策の動きや県政の方向及び社会

の要請等に十分配慮し、本県の目指す「21世紀の新しい生活

圏―美しいふくしまの創造―」に向けて、県民の期待に応え

得る教育行政の推進に努めてきた年であった。その間、平成

5年10月・18日には、小口潔子教育委員長の任期満了に伴い新

委員長には大和郭二氏、委員長職務代理者に二瓶義春氏が就

任した。また、初瀬行雄教育委員の退任に伴い、平成5年12

月24日付けで吉田彌氏がその後任として就任した。

 県教育行政において特記すべき事項としては、次の四点を

挙げることができる。

 第一は、新しい時代に対応する高等学校として

「福島県立いわき光洋高等学校」を開校したことである(4月1日)。

 いわき光洋高等学校は、生徒一人ひとりの個性を尊重し、

来るべき21世紀をたくましく生きることのできる若人の育成

を目指す、わが国初の全日制におけを単位制高校である。ま

た、それに付随して、県立いわき中央高等学校の校名を変更

し、併設の単位制による定時制課程として、新たにスタート

させた。

 第二は、県生涯学習推進本部が主唱者となり、平成4年9

月からの学校週5日制の実施を契機として設定された毎月第

2土曜日の「ふくしま・フレッシュ・ふれあいデー(3Fデ

ー)」普及啓発事業を実施したことである。

 本事業は、次の4つを目標として、様々なふれあいを通じ

て、子どもたちの個性や創造性を伸ばし、自主的に判断し主

体的に行動する、たくましく思いやりのある人間を育てると

ともに、いつでも・どこでも・だれもが実践できる生涯学習

の振興を図ることを目的として実施されたものである。

 一 家族とのふれあい

 二 地域の人々とのふれあい

 三 自然とのふれあい

 四 文化・スポーツとのふれあい

 本年度は県内4方部(県南、会津、相双、いわき)での街

頭キャンペーンをはじめ、「3Fデー」の体験に基づく作文

や絵画などによる事例発表会が行われた。

 第三は、平成6年度の高校入試から、個性を幅広くとらえ

る入試になるよう、調査書の取り扱いと推薦による入試につ

いて改善を行ったことである。

 新しい高校入試では、生徒の3年間にわたる中学校生活を

幅広くとらえ、生徒一人ひとりが持っている長所をこれまで

以上に高く評価する考えから、調査書の「各教科の学習の記

録」の配点を従来の3年次のみの10段階評定の合計であった

ものが、1年次から3年次までの5教科5段階評定の合計に

4教科の評定を2倍したものを加えた配点に拡大され、さら

には、「特別活動等の記録」に関する配点も、いままでの5

点から55点に拡大された。また、生徒一人ひとりの能力を判

定するのに適している推薦による入試が全校・全教科で実施

された。

 この新しい高校入試の実施により、中学校では生徒一人ひ

とりの個性を伸ばす学習指導や進路指導が推進され、高校で

はそれを受けて特色ある教育が行われ、生徒自らが将来の進

路目標を実現できるための教育活動が推進されることとなっ

た。

 第四は、高等学校教育の質的向上をめざし、「生徒減少期

における高等学校教育の在り方について」の県学校教育審議会

の答申(平成5年6月15日)を踏まえて、来春より猪苗代

高等学校に観光に関する総合的な知識を持ち観光産業部門で

活躍できる人材の育成を目指す国際観光科を設置すること、

さらには、男女共同参画型社会が一層進行する中での学校教

育の基本的な在り方として、富岡高等学校を男女共学校とす

ることを決定したことなどがあげられる。

 以上のほか、教育行政の主要な動きをみると以下のとおり

である。

 生涯学習関係では、生涯学習のまちづくりを全県的に推進

するため、「生涯学習モデル市町村事業」を継続実施し、市

町村における生涯学習推進体制の整備に努めたことにより、

年度末には県内市町村の約6割に当たる53市町村に推進組織

が整備され、生涯学習振興への活発な取り組みが見られたこ

と。社会状況の変化に対応し、乳幼児期から家庭の実態に応

じた家庭教育が行われるよう、家庭教育に関する事業の充実

に努めてきた従来からの「『のびゆく福島っ子』家庭教育充

実事業」に、新たに「家庭教育ふれあいネットワーカー養成

講座」が加わり事業の充実が図られたこと。ボランティア活

動を生涯学習の観点からとらえ、活動を希望する人々に対し、

活動の機会や場を提供すると共に成果を地域社会に還元する

など、地域住民が活動しやすい環境づくりを行う

「"うつくしま、ふくしま。"ふれあいボランティア推進事業」を新規

事業としてスタートさせたことなどがあげられる。

 義務教育関係では、「学習指導方法改善研究推進地区」を

設置し、学力の実態を把握し、小・中学校が連携して対策を

講じ、高等学校とも連携を深めながら本県の児童生徒の新し

い学力観に立った学力向上を図るための研究実践を行う

「小・中学校教育ネットワークプラン事業」の一層の推進に努め

たこと。登校拒否についての理解を深めるとともに、その対

応策を協議し、生徒指導の充実・強化を図る「学校適応サポ

ートプラン事業」の充実を図るために、巡回面接教育相談員

が登校拒否児童生徒のいる学校を訪問し、学校における対応

の仕方や教師の面接等を通して指導援助する「巡回面接教育

相談」を実施したこと。中学校の学習指導要領の全面実施に

ともない、中学校における教育課程実施上の諸問題に関する

専門的研修を実施し、教員の指導力の向上と学習指導要領の

趣旨の徹底を図り、本県学校教育の充実・改善に資すること

を目的として「中学校教育課程運営改善講習会」を実施した

ことなどがあげられる。

 高等学校教育関係では、中学校・高等学校における語学指

導に従事する英語指導助手に対し、語学指導に必要な知識・

指導技術等を修得させるとともに、外国語教育に係る諸問題


[検索] [目次] [PDF] [前][次]

Copyright (C) 2000-2001 Fukushima Prefectural Board of Education All rights reserved.
掲載情報の著作権は福島県教育委員会に帰属します。