本年度は、3年計画の第2年次として、中学校外国語科(
英語)において、「英語でコミュニケーションを図ろうとす
る態度を育成するための関心・意欲・態度の評価の在り方の
研究」を実施した。その際、事前にアンケート調査を実施し
問題点の焦点化を図りながら、英語におけるコミュニケーシ
ョン能力の育成とコミュニケーションヘの関心・意欲・態度
の伸長を図る指導の工夫と評価の在り方を実践的に明らかに
しょうとした。
自己評価を重ねるごとに、生徒たらは自分自身を厳しく見
つめ、励ますように変容していった。相互評価についても、
適切な条件設定をすることで、次第に温かさと公正さを持つ
ものに変り、お互いの「よさ」を認めあっていった。また教
師は、こうした生徒自身の評価活動を生かしながら、指導に
フィードバックすることができた。このような学習指導と評
価の手だての工夫が、生徒のコミュニケーション能力とコミ
ュニケーションヘの関心・意欲・態度を大きく変容させてい
くことが検証された。
今後の課題として、1)コミュニカティブな指導を普段の授
業にどうとりいれていくか、2)生徒の自己評価、相互評価を
評定にどう生かすか、という2点をあげることができる。本
研究では、評定の在り方について一つの提案を行っているが、
今後もさらに様々な角度から検討を加えていきたい。
3 児童生徒の創造性を高めるための教材開発
体験的な活動を重視して
科学技術教育部(第2年次)
本研究は、小学校理科と中学校技術・家庭科で、現行学習
指導要領になって新しく取り上げられた内容、取り扱いが変
わった内容などについて、児童生徒の創造的な能力や態度を
高めるために、体験的な活動を重視した教材の開発を目的と
したものである。
今年度は、技術・家庭科に新設された「情報基礎」領域を
研究対象に加え、教材の開発を継続するとともに、開発した
教材のいくつかについて、実際にそれらを使った授業を研究
協力校で実践し、教材の効果や改善点を調べ、改良を行った。
今年度開発した教材(◎は授業実践を行ったもの)は次の
とおりである。
(1) 小学校理科
○ 骨と筋肉のモデル(3年)
○ シミュレーションによる昆虫の学習(3年)
◎ 上皿てんびんづくり(4年、昨年度からの継続)
◎ 重さを体感できる胎児モデル(5年)
○ めもり付きスライドガラス(5年)
○ パソコンを用いた地球の動きと太陽の見え方のシミュ
レーション(5年)
○ 土の中の動物を調べる装置(6年)
◎ はりつけ法による地層モデルづくり(6年)
○ 地下ボーリングモデル(6年)
(2) 中学校技術・家庭科
◎ 栄養バランス君(1年)
○ 食品模型(1年)
◎ BASIC言語学習支援ソフトウエア(3年)
◎ アンケートを集計して報告書を作ろう(3年)
4 学校不適応児童生徒への援助の在り方に関する研究
教育相談部(第1年次)
本研究では、不登校をはじめとする「学校不適応」の背景
にあるさまざまな要因の本質をとらえ、適切な援助の在り方
について実証的に研究を進めることをねらいとした。
本年度は、県内中学校248校の中から学校規模・地域等を
考慮して、20校2,072名を対象にアンケート調査を実施し、
学校不適応状態にある生徒の実態及び生徒の学校不適応意識、
個々人が持つ価値観等を明らかにして、学校適応に向ける援
助の方向性を追究した。
調査・分析によって、学校不適応の状態を示す割合が大き
い生徒に共通する傾向がとらえられ、そのことから、不適応
状態にある生徒に対して、どのような教育相談的な援助を差
し伸べたらよいかを考察した結果、次のような望ましい援助
の方向性を明らかにすることができた。
○ 相互受容、相互支持の中で、生徒同士が信頼関係を深め
ていけるよう環境と個の「調整」の場面を確保し、人間関
係を醸成する指導援助
○ 自分に対する気づきを深め、集団の中で自己表出が促進
される環境と個の「構成」に向けた指導援助
○ 教師自身の多様な価値観に基づいて、生徒一人一人の個
性やよさを発揮できるような活動の場を重視し、学校生活
に多様な価値観を見いださせる指導援助
○ 生徒の話に耳を傾け、生徒の悩みを教師自らのものとし
て共感的に受けとめ、生徒一人一人の内面を理解しようと
する個に応じた指導援助
次年度は、今年度の研究成果を踏まえ、集団・対人への適
応意識や個の持つ適応力を高めるために、環境と個の「調整」
「構成」に向けた指導援助の試案を模索し提案したい。
第4節 教育相談
1 対 象 別
来所相談件数・延べ人数、電話相談延べ回数
種別\対象 幼 小 中 高 一 般 保護者 教員 計 来所相談 件数 10 39 63 66 12 190件 延べ人数 91 142 279 121 10 62 616 1,321人 電話相談 延べ回数 38 254 600 336 39 4 1,271回 ※ 電話相談の回数は、対象となる児童生徒について主と
して保護者・教員と相談したものである。