教育年報1993年(H5)-184/235page

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 本年度は、3年計画の第2年次として、中学校外国語科(

英語)において、「英語でコミュニケーションを図ろうとす

る態度を育成するための関心・意欲・態度の評価の在り方の

研究」を実施した。その際、事前にアンケート調査を実施し

問題点の焦点化を図りながら、英語におけるコミュニケーシ

ョン能力の育成とコミュニケーションヘの関心・意欲・態度

の伸長を図る指導の工夫と評価の在り方を実践的に明らかに

しょうとした。

 自己評価を重ねるごとに、生徒たらは自分自身を厳しく見

つめ、励ますように変容していった。相互評価についても、

適切な条件設定をすることで、次第に温かさと公正さを持つ

ものに変り、お互いの「よさ」を認めあっていった。また教

師は、こうした生徒自身の評価活動を生かしながら、指導に

フィードバックすることができた。このような学習指導と評

価の手だての工夫が、生徒のコミュニケーション能力とコミ

ュニケーションヘの関心・意欲・態度を大きく変容させてい

くことが検証された。

 今後の課題として、1)コミュニカティブな指導を普段の授

業にどうとりいれていくか、2)生徒の自己評価、相互評価を

評定にどう生かすか、という2点をあげることができる。本

研究では、評定の在り方について一つの提案を行っているが、

今後もさらに様々な角度から検討を加えていきたい。

 3 児童生徒の創造性を高めるための教材開発

     体験的な活動を重視して

             科学技術教育部(第2年次)

 本研究は、小学校理科と中学校技術・家庭科で、現行学習

指導要領になって新しく取り上げられた内容、取り扱いが変

わった内容などについて、児童生徒の創造的な能力や態度を

高めるために、体験的な活動を重視した教材の開発を目的と

したものである。

 今年度は、技術・家庭科に新設された「情報基礎」領域を

研究対象に加え、教材の開発を継続するとともに、開発した

教材のいくつかについて、実際にそれらを使った授業を研究

協力校で実践し、教材の効果や改善点を調べ、改良を行った。

 今年度開発した教材(◎は授業実践を行ったもの)は次の

とおりである。

(1) 小学校理科

 ○ 骨と筋肉のモデル(3年)

 ○ シミュレーションによる昆虫の学習(3年)

 ◎ 上皿てんびんづくり(4年、昨年度からの継続)

 ◎ 重さを体感できる胎児モデル(5年)

 ○ めもり付きスライドガラス(5年)

 ○ パソコンを用いた地球の動きと太陽の見え方のシミュ

  レーション(5年)

 ○ 土の中の動物を調べる装置(6年)

 ◎ はりつけ法による地層モデルづくり(6年)

 ○ 地下ボーリングモデル(6年)

(2) 中学校技術・家庭科

 ◎ 栄養バランス君(1年)

 ○ 食品模型(1年)

 ◎ BASIC言語学習支援ソフトウエア(3年)

 ◎ アンケートを集計して報告書を作ろう(3年)

4 学校不適応児童生徒への援助の在り方に関する研究

               教育相談部(第1年次)

 本研究では、不登校をはじめとする「学校不適応」の背景

にあるさまざまな要因の本質をとらえ、適切な援助の在り方

について実証的に研究を進めることをねらいとした。

 本年度は、県内中学校248校の中から学校規模・地域等を

考慮して、20校2,072名を対象にアンケート調査を実施し、

学校不適応状態にある生徒の実態及び生徒の学校不適応意識、

個々人が持つ価値観等を明らかにして、学校適応に向ける援

助の方向性を追究した。

 調査・分析によって、学校不適応の状態を示す割合が大き

い生徒に共通する傾向がとらえられ、そのことから、不適応

状態にある生徒に対して、どのような教育相談的な援助を差

し伸べたらよいかを考察した結果、次のような望ましい援助

の方向性を明らかにすることができた。

○ 相互受容、相互支持の中で、生徒同士が信頼関係を深め

 ていけるよう環境と個の「調整」の場面を確保し、人間関

 係を醸成する指導援助

○ 自分に対する気づきを深め、集団の中で自己表出が促進

 される環境と個の「構成」に向けた指導援助

○ 教師自身の多様な価値観に基づいて、生徒一人一人の個

 性やよさを発揮できるような活動の場を重視し、学校生活

 に多様な価値観を見いださせる指導援助

○ 生徒の話に耳を傾け、生徒の悩みを教師自らのものとし

 て共感的に受けとめ、生徒一人一人の内面を理解しようと

 する個に応じた指導援助

 次年度は、今年度の研究成果を踏まえ、集団・対人への適

応意識や個の持つ適応力を高めるために、環境と個の「調整」

「構成」に向けた指導援助の試案を模索し提案したい。

第4節 教育相談

 1 対  象  別

 来所相談件数・延べ人数、電話相談延べ回数
種別\対象 一 般 保護者 教員
来所相談 件数 10 39 63 66 12     190件
延べ人数 91 142 279 121 10 62 616 1,321人
電話相談 延べ回数 38 254 600 336 39   4 1,271回

※ 電話相談の回数は、対象となる児童生徒について主と

 して保護者・教員と相談したものである。



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