教育年報1994年(H6)-182/231page
(2) 本年度の研究事業
本年度は、主として次の3点から研究を行った。
1) 各種テストの結果に表れた本県の高校生の学力につい
ての分析
センター試験結果の分析など、各種テストに表れた本
県の高校生の学力を、統計学的に分析し、「中間報告書
1、2」としてまとめた。
2) アンケート調査「福島県の中学生の学習に対する意識
と行動」
福島県の中学生の学習に対する意識と行動を「学習一
般」「国語」「数学」「英語」の4つの観点から探り、
実態を明らかにした。調査報告書は現在作成中であり、
近く発行する予定である。またその一部は、本センター
「紀要」に掲載予定である。
3) 学力向上のための検証授業
学習指導や評価の工夫のために、福島市立北信中学校
で英語、数学、国語の3教科について検証授業を行った。
3 教育情報ネットワークシステム
調査研究プロジェクト
科学技術教育部
教育活動を支援する観点から、各種の教育情報や資料の提
供など、下記の目的を実現するために「教育情報ネットワー
クシステム」を構築するための調査研究を進めている。
(1) 教育情報資産の有効活用
(2) 学校・教育関係機関における教職員の教育活動の支援
(3) 児童生徒の学習活動の支援
(4) 教職員の資質向上による児童生徒の学力向上
教育情報ネットワークシステムの内容としては、教育情報
データベースの構築、ソフトウェアについての情報提供・試
用の場としてのソフトウェアライブラリの設置、ネットワー
クを構成するためのパソコン通信が考えられる。
今年度の調査研究から、次のように要約できた。
○教育情報としては、問題解決に役立つ情報などの学習情
報、教材・教具に関するデータなどの学習指導情報を活
用したいこと、これら共通する情報はデータベース化に
より多くの教師が活用できるものと考える。
○ソフトウェアライブラリで利用したいソフトウェアは、
学習計画用、学習指導用が上げられる。ソフトウェアの
閲覧、試用そしてソフトウェアについての情報提供を有
効に行うことを考えるとソフトウェアライブラリの早期
設置が望まれる。
○情報資産を有効に活用するためには、パソコン通信等の
ネットワークによる支援が必要である。また、児童生徒
の学習活動ではパソコン通信(電子メール、電子掲示板
等)を活用することが有効であると考える。
4 学校不適応児童生徒への援助の在り方に
関する研究(第2年次)
教育相談調査プロジェクト研究
本研究では、児童生徒の不登校をはじめとする「学校不適
応」の問題の背景にあるさまざまな要因の本質を調査・分析
によってとらえ、適切な援助の在り方について実証的に研究
を進めることをねらいとした。
本年度は、昨年度の研究で明らかにされた学校不適応児童
生徒への望ましい援助の方向性に沿って具体的な試案を作成
し、協力校での実践を通して、学校不適応児童生徒の減少を
めざした適切な指導援助の在り方を追究した。
<具体的な試案内容と成果>
ア 試案A― 「教師と生徒との人間関係を深める指導援助」
この試案では、教師と生徒との人間関係に焦点を当て、
生徒が教師に大事にされているという気持ちを抱くことが
できるような声かけを工夫した。その結果、教室内の人間
関係を深めることができ、不適応状態や意識の軽減が図ら
れた。
イ 試案B― 「生徒同士の人間関係を深める指導援助」
この試案では、本音で話し合える場や信頼関係を深め合
える場を設定し、自己表出の機会や友だちとの温かいふれ
あいを味わう機会を与えた。その結果、生徒相互が個性や
よさを認め合ったり、信頼関係を深め合ったりする機会に
なり、より深い人間関係を体験することができた。
ウ 試案C― 「社会生活技能を高める指導援助」
この試案では、好ましい人間関係を形成するための基本
的な「あいさつ」を取り上げることによって、対人交流の
活発なかかわりを援助した。その結果、生徒相互において
社会生活技能を高める必要性の意識づけや行動変容への動
機づけになったとともに、学校への適応意識も高まった。
次年度は、今年度の実践を踏まえ、集団・対人への適応
力がさらに効果的に高まるような試案に修正改良し、指導
援助の在り方をまとめたい。
第4節 教 育 相 談
教育相談部では、来所及び電話による相談を受けている。
今年度の相談の概要は以下の通りである。
1 対 象 別
来所相談件数・延べ人数、電話相談延べ回数
種別\対象 幼 小 中 高 一 般 保 護 者 教 員 計 来所相談 件数 8 38 72 50 13 181件 延べ人数 45 111 158 56 25 37 476 908人 電話相談 延べ回数 20 263 423 252 289 0 1 1,248回 ※ 電話相談の回数は、対象となる児童生徒について主と
して保護者・教員と相談したものである。