3 埋蔵文化財の保存の充実
(1)埋蔵文化財保存体制
県土の開発の進展にともない開発側との事前協議が増加
しているが、遺跡の保存に対する県民の関心も高まってお
り、埋蔵文化財保存対策が急務となっている。そのため、
発掘調査体制を年々強化し、(財)福島県文化センター遺跡調査課
に逐次定数増加を進めてきた。現在、財団職員33名
(含む嘱託1名)、派遣職員29名、計62名となっている。
(財)福島県文化センター遺跡調査課職員定数
年度 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 人員 5 9 15 20 23 26 26 30 40 44 年度 62 63 元 2 3 4 5 6 7 8 人員 47 47 55 60 60 62 62 62 62 62 (2)開発事業地内の保護対策
開発事業地内の遺跡の保護は、1)遺跡の所在・範囲・性
格等を明らかにする「分布調査」の結果により、2)事業者
と保護策を「保存協議」し、3)現状保存できない場合は、
「発掘調査」により調査報告書を作成し「記録保存」する
ことで対応している。
(ア)分布調査
開発地内の詳細な分布調査を行い、遺跡の保存対策の
資料とするもので、表面調査と試掘調査が行われる。表
面調査は常磐道路線内95遺跡、試掘調査は常磐道路線内
42遺跡、福島空港公園内9遺跡、県営かんがい排水事業
請戸川地区5遺跡について実施した。
(イ)保存協議
前年度からの継続協議を含め、次の事業について関係
機関と保存協議を実施した。
原町火力発電所、請戸川・相馬第二農水事業、
あぶくま南道路、会津縦貫北道路、常磐自動車道、摺上川ダム、
NTC、相馬地域開発・福島空港公園及び県内各地の県
営ほ場整備等の関係機関、国道・県道の工事事務所等。
(ウ)発掘調査
県教育委員会では、開発に伴う発掘調査を
(財)福島県文化センターに委託し、下記の遺跡につき実施した。
空港公園関林Cほか1遺跡(2,300m2、
NTC美シ森C遺跡ほか4遺跡(12,000m2相当)、
常磐道 大猿田遺跡ほか1遺跡(39,000m2、原町火力発電所 大迫遺跡
ほか1遺跡(27,000m2、摺上川ダム 弓手原A遺跡
ほか2遺跡(27,000m2、相馬開発 山田A遺跡ほ
か1遺跡報告書刊行の合計14遺跡(80,300m2及び報告
書刊行である。
また、県内の各市町村における開発事業関連の発掘調
査は、市町村教育委員会が実施しているが、遺跡の重要
性や調査体制を考慮し、必要に応じ県が指導している。
主なものは、以下である。
市町村名 遺跡名 市町村名 遺跡名 福島市 大平・後関遺跡 県中 郡山市 天神南遺跡 〃 高畑遺跡 〃 清水台遺跡 〃 台畑遺跡 長沼町 北作遺跡 〃 勝口前畑遺跡 石川町 西ノ作塚群 〃 勝口前畑遺跡 〃 竹柄B遺跡 〃 下ノ平E遺跡 〃 沢古屋館跡 〃 西ノ前遺跡 玉川村 大寺城跡 〃 浜井場遺跡 三春町 近世追手門前通遺跡群 〃 台畑遺跡 小野町 矢大臣遺跡 〃 台畑遺跡 大越町 堀ノ内遺跡 〃 勝口前畑遺跡 船引町 古屋敷遺跡 〃 山ノ下遺跡 県南 白河市 小峰城跡 〃 上ノ平遺跡 〃 小峰城跡 〃 上ノ平古墳群 〃 小峰城跡 〃 中谷地B遺跡 〃 小峰城跡 梁川町 茶臼山北遺跡 〃 小峰城跡 保原町 熊野塚古墳群 〃 小峰城跡 二本松市 二本松城址 〃 小峰城跡 本宮町 百目木遺跡 〃 小峰城跡 〃 上原遺跡 表郷町 六斗蒔遺跡 郡山市 清水台遺跡 泉崎村 日渡山横穴墓群遺跡 〃 鳴神・柿内戸遺跡 会津 会津若松市 東高久遺跡 〃 清水内遺跡 〃 西木流遺跡 〃 阿良久遺跡 〃 笹山原No1.遺跡 〃 荒井猫田遺跡 〃 門田条里制跡 〃 下羽広遺跡 猪苗代町 観音屋敷遺跡 〃 野中遺跡 〃 林口遺跡 〃 山田C遺跡 〃 都沢道遺跡 〃 仁戸内館跡 喜多方市 四十苅遺跡 〃 清水台遺跡 〃 長尾遺跡 〃 阿良久遺跡 〃 前田遺跡 〃 咲田遺跡 〃 八幡塚古墳 〃 向河原遺跡 塩川町 舘ノ内遺跡 〃 大安場古墳群 〃 古屋敷遺跡 〃 一ツ松遺跡 会津坂下町 大村新田遺跡