教育年報1997年(H9)-123/258page

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第9章 海洋文化・学習施設

第1節 海洋文化・学習施設(仮称)

整備事業

【施設整備の概要】

(1) 施設整備の目的

 海洋文化・学習施設(仮称)は、近年の余暇活動の多様

化、生涯学習意欲の高まり、さらには総合的な小名浜港の

整備方策の検討などを背景として、子どもから大人まで多

くの人々が、海の生物や環境について楽しみながら学び考

え、交流することのできる施設として小名浜港2号ふ頭に

平成12年夏の開館を目途に整備を行うものである。

 本施設は、「水族館」を中核として「海洋博物館」

「海洋科学館」の機能を合わせ持った新しいタイプの

「海洋ミュージアム」を目指している。

(2) 基本理念

 本施設には、将来の様々な海洋性レクリエーションや海

洋文化活動への対応、海に関する知的体験の提供、環境問

題に関する教育や意識の啓発といった機能が求められてい

る。このため、海を地域的(ローカル)な視点から地球的

(グローバル)な視点まで、幅広くかつ多様な視点から体

験学習することを通して、自然と人間とのかかわり合いや

生命の尊さ、自然保護の大切さ等について理解を深めても

らうことを主眼に、本施設の基本理念を『海を通して「人

と地球の未来」を考える』とした。

(3) 基本的機能

 基本理念の実現に向けて本施設が担うべき基本的機能と

して、次のようなものが期待されている。

1) 海洋レクリエーションの拠点機能

 海に関する文化・学習という教育的視点を基本としな

がらも、施設利用型海洋レクリエーションの拠点として、

余暇の充実などの多様なレクリエーション需要に応える

とともに、訪れる人々が楽しく集い、互いに交流を深め

ることのできる施設とする。

2) 海洋ミュージアム機能

 水族館・海洋科学館・海洋博物館の機能を併せ持ち、

海の自然環境、海に関する科学・技術、海から生まれた

文化など、海、そして海と人との関わりについての様々

な知的体験や学習機会を提供し、海の新しい文化の創造

を支援する「新しい時代に向けたミュージアム」とする。

3) 環境教育機能

 海の環境を通して、自然環境保全(環境保護、自然保

護)はなぜ必要なのか、自分たちはそのために何ができ

るのかを来館者とともに考える施設とする。

4) 地域振興の中核機能

 子どもから高齢者までの幅広い人々にとって魅力的で

潤いのある親水空間を創出し、地域開発のきっかけとな

る施設として、また、将来的には周辺の施設と一体となっ

て地域振興の中核的機能を担う施設とする。

 さらに、県内の他のレクリエーション施設等とのネッ

トワーク化を図り、広域観光の拠点としての機能も担う

施設とする。

5) 「福島の海」のシンボル機能

 以上の機能を総合した象徴的機能として、福島県の本

格的な海洋レクリエーション時代の幕開けにふさわしい、

「福島の海」のイメージを県内外にアピールするシンボ

ルとしての機能を担う施設とする。

(4) 整備事業の経緯

 本県の海を活用した海洋性レクリエーション・ゾーンの

整備については、昭和53年策定の「福島県長期総合計画」

において検討の必要性が明記されて以来、調査・検討を行っ

てきた。

 平成2年2月「福島県海洋性レクリエーション懇談会」

より、海の生物や船、港など海に関する知的習得と海に対

する親近感を深める機能を有する「海洋文化・学習施設」

が提案され、その立地場所としては、いわき地域が適地と

された。

 施設整備に向けて、平成4年度に「基礎調査」を実施し、

平成5年度に「基本構想」、平成7年度には「基本計画」

を策定した。

 平成7年度から設計段階に移行し、平成8年度までに基

本設計及び実施設計を行った。

 平成9年度には、本体工事に着手したところである。

1 海洋文化・学習施設整備室の設置

 海との関わりを深める機能を有する体験学習施設として、

本施設を整備するため、平成7年度に所管を企画調整部から

教育委員会に移管し、地域に根ざした生涯学習の推進及び総

合的な生涯学習推進体制の整備・充実という側面に重点をお

いた整備を目指すこととした。

 平成9年度には、建設工事の本格化に対応するため、生涯

学習課の課内室として新たに「海洋文化・学習施設整備室」

を設置した。

2 本館建設工事

(1) 実施設計

 本施設の実施設計については、基本設計を受けて平成8

年度に策定し、その成果を平成9年7月に発表した。

併せて、施設の開館時期を平成12年夏とした。

1) 建築設計

 水族館の機能を中心として、博物館、科学館の機能を

併せ持つ複合施設として、以下の内容とした。

□ 主要構造 鉄筋コンクリート 鉄骨鉄筋コンク

リート 鉄骨

□ 階数 地上4階

□ 敷地面積 約26,342m2

□ 建築面積 8,815m2

□ 延床面積 13,714m2

□ 高さ 34m


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