教育年報1997年(H9)-136/258page
3 埋蔵文化財の保存の充実
(1) 埋蔵文化財保存体制
県土の開発の進展にともない開発側との事前協議が増加
しているが、遺跡の保存に対する県民の関心も高まってお
り、埋蔵文化財保存対策が急務となっている。そのため、
発掘調査体制を年々強化し、(財)福島県文化センター遺跡調
査課に逐次定数増加を進めてきた。現在、財団職員33名
(含む嘱託1名)、派遣職員29名、計62名となっている。
(財)福島県文化センター遺跡調査課職員定数
年度 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 人員 9 15 20 23 26 26 30 40 44 47 年度 63 元 2 3 4 5 6 7 8 9 人員 47 55 60 60 62 62 62 62 62 62 (2) 開発事業地内の保護対策
開発事業地内の遺跡の保護は、1)遺跡の所在・範囲・性
格等を明らかにする「分布調査」の結果により、2)事業者
と保護策を「保存協議」し、3)現状保存できない場合は、
「発掘調査」により調査報告書を作成し「記録保存」する
ことで対応している。
(ア) 分布調査
開発地内の詳細な分布調査を行い、遺跡の保存対策の
資料とするもので、表面調査と試掘調査が行われる。表
面調査は常磐道路線内20遺跡、あぶくま南道路線内59遺
跡、会津縦貫北道路線内24遺跡、試掘調査は常磐道路線
内26遺跡、福島空港公園内9遺跡、県営かんがい排水事
業相馬第二地区5遺跡について実施した。
(イ) 保存協議
前年度からの継続協議を含め、次の事業について関係
機関と保存協議を実施した。
原町火力発電所、請戸川農水事業、相馬第二農水事業、
あぶくま南道路、会津縦貫北道路、常磐自動車道、
摺上川ダム、福島空港公園及び県内各地の県営ほ場整備等の
関係機関、国道・県道の工事事務所等。
(ウ) 発掘調査
県教育委員会では、開発に伴う発掘調査を
(財)福島県文化センターに委託し、下記の遺跡につき実施した。
空港公園:関林Cほか1遺跡(2,300m2)、
常磐道:小松館跡ほか5遺跡(15,000m2)、原町火力発電所:
大迫遺跡ほか1遺跡(13,140m2)、摺上川ダム:獅子内遺跡
ほか3遺跡(27,000m2)、あぶくま南道路:上宮崎A遺跡
ほか10遺跡(58,820m2)、請戸川農水:北向A遺跡ほ
か2遺跡(1,000m2)相馬第二農水:小原田遺跡(200m2)、
合計14遺跡(151,200m2)及び報告書刊行である。
また、県内の各市町村における開発事業関連の発掘調
査は、市町村教育委員会が実施しているが、遺跡の重要
性や調査体制を考慮し、必要に応じ県が指導している。
主なものは、以下である。
市町村名 遺跡名 市町村名 遺跡名 県北 福島市 勝口前畑遺跡 県中 小野町 矢大臣遺跡 〃 宮畑遺跡 大越町 岡平遺跡 〃 台畑遺跡 船引町 ニツ森A遺跡 〃 勝口前畑遺跡 県南 白河市 小峰城跡 〃 浜井場遺跡 〃 小峰城跡 〃 菅原遺跡 〃 舟田中道遺跡 〃 城裏口遺跡 〃 夕日遺跡 〃 岸窯跡 〃 上根田ケ入遺跡 〃 八幡塚古墳 〃 舟田中道遺跡 〃 西B・C遺跡 〃 小峰城跡 〃 宮畑遺跡 棚倉町 棚倉城跡 川俣町 河股城跡 会津 会津若松市 若松城郭内武家屋敷跡 国見町 東越山舘跡 猪苗代町 笹森C遺跡 保原町 熊野塚古墳群 〃 惣座遺跡 〃 熊野塚古墳群 〃 大林遺跡 〃 金華山塚古墳群 喜多方市 大沢遺跡 大玉村 星内遺跡 塩川町 古屋敷遺跡 〃 星内遺跡 〃 高森山遺跡 県中 郡山市 清水内遺跡 山都町 下屋敷遺跡 〃 西原遺跡群 会津高田町 権現山下遺跡 〃 山王林遺跡 会津本郷町 下野街道(南山通り) 〃 大安場古墳 南会津 田島町 寺前遺跡 〃 荒井猫田遺跡 相双 相馬市 地ノ内遺跡 〃 山田C遺跡 楢葉町 植松遺跡 〃 高倉栗遺跡 原町市 下地高平遺跡 〃 清水台遺跡 〃 町遺跡 〃 阿良久遺跡 〃 泉廃寺跡 〃 大槻向原遺跡 〃 蛭沢遺跡群 須賀川市 古舘遺跡(古舘館跡) 〃 町遺跡 〃 栄町遺跡 〃 川内迫B遺跡 〃 しどみ柄館跡 〃 泉廃寺跡 〃 星野宮館跡(松塚館跡) 〃 法憧寺跡 石川町 三芦城跡 〃 出口遺跡 玉川村 滝作B遺跡 〃 泉廃寺跡