教育年報1997年(H9)-207/258page
(2) プロジェクト研究2
「コンピュータ教育支援研究
一個別的・障害別の子供の実態に応じた入力装置の工夫と
活用に関する研究一」
研究の趣旨
本県の養護教育におけるコンピュータ教育の充実と発
展のために早急に対応しなければならない課題を探り、
その課題解決に向けた望ましいコンピュータ教育の在り
方を追求する。
肢体不自由児の生活支援、コミュニケーション支援、代
行・補助手段としてのコンピュータ活用の可能性を探り、
子供一人一人の障害の程度、実態に応じた段階的な指導の
在り方について、特に入力装置の工夫と作製を中心に研究
を行った。
「プッシュマウス」の作製の事例では、対象児の能力が
最大限発揮できる学習環境を整備したことで、様々な学習
へと発展させることができた。つまり、コンピュータは、
子供の思いを実現し、学習意欲を高めるための大切な道具
となった。
養護教育におけるコンピュータ教育の可能性として、子
供の実態に応じたコンピュータ教育の重要性と、マルチメ
ディアの教育的利用に関する研究の必要性を明らかにした。
(3)プロジェクト研究3
「学校との連携を基盤にした教育相談の在り方に関する研究
一不登校児に対する心理特性を活かした支援の在り方一」
研究の趣旨
当センターの機能を十分に生かした教育相談を進めな
がら、学校との望ましい連携による不登校児に対する支
援の在り方について研究する。
学校との望ましい連携による支援の在り方について、実
態の把握、対象児への家族・担任の対応の在り方、学校と
の連携の視点から研究を進めた。その結果、担当教師等と
の継続的な連携により、学校とセンターが共通の視点で対
象児の実態を把握し、指導に生かすことができた。また、
担当教師等の対象児に対する思いが伝わり、よい関係が生
まれると同時に、学校での共通理解による支援体制の充実
によって、対象児が無理なく生活できるようになったこと
が成果としてあげられた。
2 長期研究員研究
(1) 「聴覚障害児の国語力を高めるための発表活動の支援の
在り方一個に応じた指導計画の作成を通して一」
福島県養護教育センター長期研究員 櫛田省吾
(2) 「学習上特別な配慮が必要な子供(学習障害児等)に対
する支援の在り方一個別教育支援シートを基にした支援
システムの活用を通して一」
福島県養護教育センター長期研究員 柳内泰二
(3) 「多様化する特殊学級等での学級経営の在り方に関する
総合的研究一本県特殊学級等の実態調査を踏まえたこれ
からの特殊学級経営についての考察一」
福島県養護教育センター長期研究員 圓谷貴
3 学習指導研究
特殊教育担当教員による実践的研究への支援
(学校現場の研究協力者との共同研究)
「自分の思いを表し、生き生きと活動する児童を育てるに
はどうすればよいか」
福島市立湯野小学校教諭 大竹英明
4 実践研究
特殊教育における教材・教具の開発に関する研究
(教材・教具開発事例集の作成)
事例1 「フリフリスイッチの活用」
事例2 「プッシュスイッチの活用」
事例3 「枕型ピンスイッチの活用」
事例4 「大型プッシュスイッチの活用」
事例5 「ピンスイッチの活用」
事例6 「キラキラヒュンヒュン箱の活用」
第5節 教育図書・資料の収集
・提供事業
1 教育図書・資料の収集・整理
(1) 教育図書の収集・整理
教育図書については、養護教育に関する専門図書の充実
に努め、本年度539冊の新規購入及び寄贈の結果、蔵書数
は6,501冊になった。その種類は、心身障害児の教育関係
図書が207冊、その他の図書が2,356冊である。これらの図
書は、「日本十進分類法」の分類基準に従い分類・配架し
ているので、いつでも利用できるようになっている。また、
コンピュータによる検索もできるようにして、問い合わせ
等に応じられるようにした。
(2) 教育関係定期刊行物の収集・整理
教育関係定期刊行物については、本年度30種類を購入し
た。
(3) 教育資料の収集・整理
全国の関係機関や県内の教育機関の協力により、研究紀
要、研究報告書、手引き、ハンドブック、ビデオ等の収集
に努め、集まった139冊について各機関別に分類した。県
内の資料についても、学校別に分類・配架した。
2 教育図書・資料の利用
本年度の図書・資料は、養護教育センターの研修参加者を
含め、県内の養護教育に携わる教職員によって利用されてき
た。また、普通教育に携わる教職員や、障害児の保護者等の
利用もみられた。利用者は、873名で、図書・資料の貸出冊
数は、457冊であった。