教育年報1998年(H10)-213/270page
う観点から、心情面を重視し、個々の生活全体から見た実
態把握と個々の行動の背景を十分読み取った実態把握が重
要であることを明らかにした。さらに、本人、保護者の願
い、医療関係者、教師の願いから複数の教師によるスタッ
フ会で教育ニーズを焦点化し、学校教育における目標、指
導の手立てを設定していくことが、充実した日々の授業を
展開するために重要であることを明らかにした。
次年度は、試案として作成した個別の指導計画様式を各
障害種別に検討し、作成システムモデルを検証することで、
より実際的な個別の指導計画の在り方を明らかにしたい。
(3) プロジェクト研究3
「コンピュータ教育支援研究一データベースソフトを
活かした知的障害児のコンピュータ活用に関する研究一」
知的障害教育においては、児童生徒が自らの意思で選び、
行動(表現)すること、すなわち自己選択、自己決定の重
要性が指摘されている。コンピュータ等の操作を通して、
自ら情報を選択し、自らの考えで整理し、自らの意思で表
現することは、まさに、この自己選択、自己決定、主体的
活動につながるだろうと考える。
そこで、本研究では、児童生徒が自ら選択、決定できる
よう、データベースソフト(1)進路指導用データベース「進路ちゃんネル」、
2)コミュニケーション支援データベース「色、イロ、いろ」)
を開発、提供し、実際に操作する
中で、コンピュータを活用する有用性を協力校との連携に
より考察し、知的障害児へのコンピュータ活用の有効性と
必要性を明らかにした。
2 実践研究
「学習障害(LD)児等に対する支援の在り方に関する研究
一学習場面における個別教育支援シートの活用一」
LD児等に対して学校と連携を図り、個別教育支援シー
トを基に特性に応じた対応をするなど、学習場面における
具体的な支援の在り方を明らかにしたいと考えた。そのた
め個別教育支援シートを生かした授業及び授業後のケース
会議など実践的な研究により、学習場面での個に応じた指
導の手立てを明らかにした。
3 長期研究員研究
(1) 「多様化する特殊学級での学級経営の在り方に関する研
究 -初めて特殊学級を担任する教師のための参考資料作
成を通して-」
長期研究員 圓谷 貴
(2) 「養護教育に関するコンピュータソフト活用の在り方
一自己選択できるデータベースの作成を目指して一」
長期研究員 水井裕行
4 学習指導研究
養護教育担当教員による実践的研究の支援
「こだわりがある生徒の人とのかかわりを広げる指導の
在り方 一興味・関心を生かした教師とのやりとりを通し
て一」
福島県立平養護学校教諭 神田豊
第5節 教育図書・資料の収集
・提供事業
1 教育図書・資料の収集・整理
(1) 教育図書の収集・整理
教育図書については、養護教育に関する専門図書の充実
に努め、本年度164冊の新規購入及び寄贈の結果、蔵書数
は6,665冊になった。その種類は、障害児の教育関係図書
が1,221冊、その他の図書が5,444冊である。障害児関係図
書については、利用しやすいように障害別(視覚障害、聴
覚障害、知的障害、肢体不自由、病弱、重複障害等)に配
架している。また、本年度から利用者自身が簡単に検索で
きるデータベースを作成し、利用者の利便を図った。
(2) 教育関係定期刊行物の収集・整理
教育関係定期刊行物については、30種類購入しいつでも
閲覧できるようにしている。
3) 教育資料の収集・整理
全国の関係機関や県内の教育機関の協力により、研究紀
要、研究報告書、ハンドブック等の収集に努め、収集した
347冊について分類・配架しし県内の資料についても、
学校別に分類・配架した。
(4) 養護教育に関するビデオコーナーの設置
養護教育に関心を持ち、正しい理解を図ることを目的と
して、障害別にビデオテープを用意し、養護教育に関する
ビデオを自由に視聴できるコーナーを設置した。教育相談
に訪れた人達が活用した。
2 教育図書・資料の利用
当センターの研修参加者を含め、県内の看護教育に携わる
教職員のみならず、義務教育諸学校の教職員や一般の方々の
利用も増加している。利用者は955名、図書・資料の貸出数
は578冊であった。
第6節 広報・啓発事業
1 所報「養護教育」(46号、47号、48号)
(1) 内容
提言、特集、願いふれあい、研修ノート(研修講座講義
から)、おとなりさんさわやかさん、インフォメーション
(教育相談から、図書資料室から、研修から、研究から)
(2) 規格、ページ、部数
1) 規格 A4判
2) ページ数 毎号16ページ
3) 部数 毎号1,800部
2 研究紀要「第13号」
(1) 内容
プロジェクト研究1・2・3、(研究の趣旨、研究の構
想、研究の目的、研究内容・方法、研究の実際、研究の成