平成12年度教育年報 -092/272page
害のある幼児児童生徒が自己のもつ能力や可能性を最大限に発揮し、自立し、社会参加するための基盤となる「生きる力」を育むため、障害の状態等に応じた適切な教育課程の編成に努めるとともに、一人一人の障害の状態や学びの特性等に応じたきめ細かな教育の推進を図った。また、障害のある幼児児童生徒の経験を広め、社会性を養い、好ましい人問関係を育てるため、地域や学校の実態等に応じ、障害のない児童生徒が地域社会の人々と活動を共にする機会を積極的に設けるとともに、養護教育及び障害に対する正しい理解と人権教育の精神に根ざした心のふれあいを深め、ともに学び、ともに育つ教育の充実に努めた。
(2) 指導組織
課長、主幹兼課長補佐、主任主査兼振興係長、主任管理主事、管理主事、主任指導主事各1名、指導主事4名、主査1名、主事2名、各教育事務所養護教育担当指導主事7名、教育委員会委嘱養護教育担当学校教育指導委員6名をもって指導に当たった。(3) 学校教育指導の重点
前記の基本方針に基づき、指導の重点を次のように設定し、指導の充実を図った。
1. 教育内容・方法の改善充実
ア
児童生徒の障害の状態等に応じた適切な教育を行うため、盲・聾・養護学校、特殊学級、通級指導教室等の教員に対し、教育課程実施に伴う指導上の問題点、個に応じた指導の工夫改善等について研修を行い、指導担当者の指導力の向上に努めた。
イ
各種研修会、要請訪問等を通して、幼児児童生徒の実態に応じた学習指導、生徒指導等の諸問題について協議を深め、学校運営の質的向上に努めた。
ウ
訪問教育においては、週3回の訪問を実施するとともに、そのうち1回は登校可能な児童生徒に対して、定期的に他の児童生徒と交流したり、集団学習を行ったりすることができるように、スクーリング(登校学習)を実施した。また、高等部における訪問教育の充実に努めた。
エ
教育委員会広報誌「教育福島」で学校教育指導の重点や具体的課題を明確にし、教育内容・方法の改善充実に参考となる実践例等を紹介した。
・ 医療的ケア必要とする子供たち(7・8月号) 新学習指導要領の趣旨を生かした学校経営1 (9月号)
・ 特別な支援を必要とする子供たちの教育(10.11月号)
・ 新学習指導要領の趣旨を生かした学校経営2 (1月号)2. 生徒指導の充実
幼児児童生徒の障害の状態や特性について、教職員の共通理解を図り、幼・小・中・高等部の一貫した指導に努めるとともに、生徒指導の機能を生かした授業や家庭及び関係機関との連携に努めた。3. 進路指導の充実
児童生徒が主体的に進路を選択し、自らの将来のよりよい生き方を実現するために、個に応じた進路指導計画の作成や福祉・労働・医療機関との連携を図りく進路指導体制の整備に努めた。特に、障害のある児童生徒が、地域において社会参加・自立することができるように、一人一人の実態に応じた進路決定の在り方と進路実現のため、事業所や福祉関係機関等への理解啓発に努めた。4. 軽度障害児の指導の充実障害の多様化に対応した教育課程の編成に努め、個に応じた指導計画の作成及び指導の充実に努めるなど、新しい学習指導要領の趣旨を生かした特殊学級経営の充実に努めた。また、通常の学級に在籍する軽度の障害児や学習障害児、注意欠陥/多動性障害(ADHD)児等の理解や指導の在り方についてセミナーを開催し、担当教員の指導力の向上に努めた。5. 交流教育の推進
「であいふれあいサポートプラン」事業(「学校から地域へ」)を実施し、盲・聾・養護学校と小・中・高等学校及び地域との交流を行ったり、自然や文化とふれあったりして、体験を深める中で、養護教育及び障害に対する正しい理解と認識を深めることに努めた。また、平成10年度から実施した「共生社会への道支援事業『ふれあいウイング』」(「地域から世界へ」)を実施し、盲・聾・養護学校高等部生徒と高等学校生徒等を合同で、ノーマライゼーションの理念に基づく社会づくりの先進地アメリカ合衆国バークレー市等に派遣した。
(4) 教職員の資質と指導力の向上
1. 養護教育担当指導主事会議の開催
養護教育に関する指導の重点や事業概要等についての研究協議を行い、各教育事務所管内の養護教育の理解及び円滑な推進を図った。
2. 学校教育指導委員連絡協議会の開催
養護教育に関する指導の重点や事業概要及び学校教育指導委員の任務についての研修を行うとともに養護教育の専門性についての調査研究等をと通して学校教育指導委員の資質の向上を図った。
3. 盲・聾・養護学校初任者研修、経験者研修の実施
盲・聾・養護学校の初任者に対して、校内・校外における研修を通して、実践的指導力と使命感を養った。また、教職経験に応じた経験者研修を実施し、校内におけるリーダーとしての力量の向上に努めた。経験者研修において、中・高合同教科研修、コンピュータに関する研修、社会貢献活動体験研修等を行った。
4. 教員海外派遣の実施
諸外国の教育、文化及び社会等の諸事情を視察し、国際的視野に立った知見及び専門的な教養を身に付けさせ、指導力の向上を図るため、教員3名を海外に派遣した。また、英語担当教員の資質向上のため、教員2名を会津大学に語学研修の派遣を行った。
5. 養護教育担当教員長期・短期研修
養護教育に関し、指導的立場に立つ教員の育成に対し、専門的知識及び技術を習得させ、資質の向上と指導力の向上を図るため、教員10名を国立大学、国立特殊教育総合研究所へ長期、短期の派遣を行った。