平成12年度教育年報 -205/272page
第14章 福島県養護教育センター
第1節 概 要
福島県養護教育センターは、地方教育行政の組織及び運営に関する法律(昭和31年法律第162号)第30粂及び地方自治法(昭和22年法律第67号)第244条第1項の規定に基づき、障害児の教育(以下「養護教育」という。)の振興及び充実を図るために、昭和61年4月1日に郡山市富田町に開所された。
開所以来、関係機関と連絡協調しながら、教育相談、教職員の研修、調査・研究、図書・資料の収集・提供、広報・啓発等の事業を行ってきた。
近年の障害の重度・重複化、多様化、早期からの教育的支援の必要性、情報化社会の進行、ノーマライゼーションの理念の浸透等に伴い、そのニーズに応じた事業の推進に努めてきた。
1 教育相談事業
障害のあるまたはその疑いのある乳幼児・児童生徒について、障害の種類や程度に応じた養育・教育・就学及び進路等について理解が図られ適切な措置がなされるよう、教育相談を行った。
また、子供を取り巻く保護者、幼稚園・保育所、学校、市町村教育委員会等からの相談に対し、面接・行動観察や心理検査等を行い、必要に応じて嘱託医や専門機関との連携を図りながら、専門的・総合的観点から教育相談にあたってきた。
教育相談受理件数は688件(昨年度比97%)延べ相談件数は3,440件(昨年度比109%)であり、延べ相談件数がやや増加した。障害種別による相談件数の内訳は、昨年度同様知的障害と情緒障害(特に不登校と学習障害等)についての相談が多くあった。
障害のある乳幼児に対する早期からの相談の充実をめざし医療、保健、福祉、教育が一体となった相談支援システム作りを昨年度に引き続き重点事業として取り組んだ。本年度は「早期教育相談地域推進会議」を県内7会場で年2回実施し、各機関の情報交換やケース会議、協議を行った。参加者は、保健所保健婦、市町村保健センター保健婦、児童相談所児童福祉司、社会福祉事務所家庭相談員、幼稚園・保育所職員、小学校特殊学級担任・通級指導教室担任、盲・聾・養護学校教員、当センター所管の地域相談室相談員、市町村教育委員会職員、教育事務所指導主事、養護教育課指導主事等であった。
また、ミニコミ誌「ふれあいネット」等の配付を通して、教育相談事業について県民への周知に努めた。さらに、開所15年目を迎え、教育相談業務について、相談件数や相談内容等の推移を整理した。
2 教職員研修事業
養護教育担当教職員を主な対象として、障害児をとりまく社会の変化や多様なニーズを踏まえ、養護教育に関する基礎的基本的な知識及び技能の習得に関する研修や、通常学級において特別な教育的支援を必要とする子供等へ教育的対応を図るための専門的知識・技能についての研修を実施した。15の専門研修講座、基本研修講座、指定研修講座において、教員の資質、指導力、専門性の向上をめざした研修事業を推進した。
専門研修講座の総受講者は279名、基本研修講座の給受講者は122名(経験者研修88名、初任者研修34名)、指定研修講座(特殊教育新任担当教員、訪問教育担当教員、養護教育進路指導主事)の給受講者は119名であった。また、研修の機会を広く多くの教職員に提供するため実施した公開講座(4講座)の聴講者捻数は103名であった。
3 教育調査・研究事業
本県が当面している養護教育振興上の課題及び学校における教育実践上の具体的課題として、次の調査・研究等を行った。
プロジェクト研究「子どもの心と向き合う教育実践に関する研究」(一年次)は、養護教育に携わる教師が、子どもの心とどのように向き合っているのか、その現状と課題について調査した。
実践研究は、特別な教育的支援を必要とする児童生徒に対する指導の在り方や新設特殊学級への支援の在り方等について実践的な研究を行った。
また、3名の長期研究員は、「養護教育におけるコンピュータ教育利用」「聴覚障害児の最早期教育」「認知の特性を生かした授業づくり」等、今日的課題の解決に向けて研究を進め、その成果をまとめた。
これらの調査研究の成果は、研修講座や教育相談に反映させるとともに、研究紀要第15号として刊行し、併せて第15回研究発表会において発表した。
4 教育図書・資料の収集・提供事業
本県養護教育の中心的施設としての機能の充実をめざして広く養護教育関係図書・資料の収集に努め、関係教職員等が活用できるよう、整備、充実を図った。
本年度は、特に養護教育に関する図書の充実と教育資料の収集、Webページによる紹介、コンピュータによる簡易検索機能の利用を推進した。また、養護教育に関するビデオコーナーの充実を図った。
なお、3月末日現在での養護教育関係図書の蔵書数は6,828冊、逐次刊行物31種、教育資料数2,579点である。
5 広報・啓発事業
養護教育に関する情報や資料及び当センターの事業内容の紹介を定期刊行の広報誌や各種発行物として、教職員や関係諸機関等に配付し、養護教育に対する啓蒙・啓発の推進を図った。