レッドデータブックふくしまT 植物・昆虫類・鳥類 -369/451page
未評価 コウチュウ目 ハネカクシ科
ヒョウタンハネカクシ Brathinus oculatus Lewis 【選定根拠】湿地に生息する形態的に特異な種であるが、記録されることは少なく、生態的にもよくわかっていない。林田(1968)による檜枝岐村の記録があるのみで、ササの叢生した湿地で見いだされた。
【形態】体長3.7〜4.1o。頭部は平たくほぼ円形をしており、前胸背板は幅より長く平滑、上翅は楕円形をしていて腹部の大半をおおっている。体色は全体が黄赤褐色であるが頭部はやや暗色となる。細長い頭胸部に比して幅の広い上翅をしていて腹部がほとんど見えないことから、外見上ハネカクシとは思えない種である。
【分布】北海道と本州に分布しているが、本州では標高の高い所から見いだされている。
【県内の分布、生息状況】林田(1968)による檜枝岐村の記録があるのみで、ササの叢生した湿地で見いだされた。湿地に生息する種であるが、記録されることは少なく生態的にもよくわかっていない。
【主要文献】
林田修三(1968)尾瀬御池小屋附近にてヒョウタンハネカクシを採集.甲虫ニュース,(1):2.
未評価 コウチュウ目 コガネムシ科
ニセマグソコガネ Aegialia nitida (Waterhouse)
【選定根拠】海浜の砂地に生息しているが、日本海側からの記録は少なくないが、太平洋側からはほとんど報告されておらず、生態的に不明な点が多い。いわき市で草の混じった砂地の石下から1例だけ見いだされたのみである。
【形態】体長3.5〜4.5o。体は鈍い光沢を持った黒色を呈している。背面は強く膨隆し、頭部の前半は弱く顆粒がある。前胸背板は微小点刻を散布し、上翅には細い条溝をそなえその中の点刻はまるく間室にはみだす。
【分布】日本固有種で北海道、本州、九州に分布している。
【県内の分布、生息状況】いわき市で草の混じった砂地の石下から1例だけ見いだされたのみである。湿地に生息する種であるが、記録されることは少なく生態的にもよくわかっていない。
【主要文献】
塚本珪一(1990)ニセマグソコガネの分布について.SAIKAKU,(9):24.
未評価 コウチュウ ダエンマルトゲムシ科
シラホシダエンマルトゲムシボ Pseudochelonarium japonicum (Nakane)
【選定根拠】清流周辺から見いだされることが多いが、個体数が少なく生態的にもよくわかっていない。福島市と舘岩村から記録されているが、いわき市でも見いだされている。いずれも清流近くの灯火に飛来したもの。
【形態】体長5.2〜6.1o。名前のとおり長楕円形をしており、体色は茶褐色を呈していて背面に白色の毛斑を有している。
【分布】日本固有種で北海道、本州、対馬に分布している。清流周辺から見いだされることが多いが、個体数が少なく生態的にもよくわかっていない。
【県内の分布、生息状況】福島市と舘岩村から記録されているが、いわき市でも見いだされている。いずれも清流近くの灯火に飛来したもの。
【主要文献】
久保田憲二(1994)福島市摺上川上流域の昆虫コウチュウ目.ふくしまの虫,(12):33-67.
大桃定洋(1997)福島県南会津舘岩村で採集した甲虫2種.月刊むし,(312):40-41.
未評価 コウチュウ目 タマムシ科
ホソツツタマムシ Paracylindromorphus japanensis (E.Saunders)
【選定根拠】ススキを食草としているが個体数が少なく、田添・大桃(1989)による福島市の記録が唯一のものである。福島市ではススキの生えた河原で見いだされている。今のところ福島県が分布の北限となっている。県内におけるススキの分布状況からすると、さらに多く記録されると思われる。
【形態】体長4〜5.5o。細長い筒状をしており、体色は光沢のある黒色。頭胸部にはまるいあばた状の点刻を有している。
【分布】本州、四国、九州、対馬に分布している。ススキを食草としているが、個体数が少なく、今のところ福島県が分布の北限となっている。
【県内の分布、生息状況】田添・大桃(1989)による福島市の記録が唯一のものである。福島市ではススキの生えた河原で見いだされている。
【主要文献】
田添京二・大桃定洋(1989)福島県産タマムシ科種名目録.東北の自然,(50):8-12.
未評価 チョウ目 タテハチョウ科
コヒョウモンモドキ Mellicta ambigua niphona Butler
全国カテゴリー;絶滅危惧U類【選定根拠】県内では檜枝岐村において1971年8月3日1雌採集の記録があるが、その後の記録はないため。記録地は、キャンプ場等が拡張整備され当時の面影はないが、周辺には類似環境が各所に点在するので、今後の継続調査が必要である。また、尾瀬地区での採集は禁止されているので、積極的な調査研究の手の届かないことも、生息の確認に至らない要因とも思われる。
【形態】日本に産するヒョウモンモドキ類3種のうち、本種とヒョウモンモドキは本県で記録のある近似種同士で、同定には注意を要する。本種の方が小型で、翅表の黒斑が濃厚、雌雄の斑紋は酷似するが雌は雄より大型で、翅表の黒斑が発達している。
【分布】国内では、本州の中部山岳地帯から北関東にかけて局所的に産し、本県の産地が分布の北限。国外ではシベリア、朝鮮などに分布する。棲息地は、食草のクガイソウなどが生育する湿性草原である。
【県内の分布、生息状況】県内では南会津檜枝岐村において1971年8月3日1雌採集の記録があるが、その後の記録はない。
【主要文献】新部公亮(1992)福島県産新記録種コヒョウモンモドキについて.Butterflies,(3):53.
未評価 チョウ目 シジミチョウ科
キタアカシジミ Japonica onoi onoi Murayama
全国カテゴリー;絶滅危惧U類【選定根拠】本種は、アカシジミの中から独立分離されたことから、全県的に分布するアカシジミとの区別調査が十分でなく生息を把握しきれないため。甲子高原のカシワ林よりの記録があるが、他のカシワ林と従前のアカシジミの発生地での確認が必要である。
【形態】近似種のアカシジミに酷似しており、羽化直後の新鮮な個体での同定か、交尾器での同定しかないため、調査を困難にしている。
【分布】国内では、北海道、本州。基本的には本種はカシワを好み、アカシジミはコナラを好むというが混生もあり得るため今後の精査が望まれる。
【県内の分布、生息状況】甲子高原のカシワ林よりの記録があるが、他のカシワ林と従前のアカシジミの発生地での確認が必要。
【主要文献】
猪又敏男(1992)日本のキタアカシジミ.月刊むし,(261):4-7.
長谷川大(1998)甲子高原のキタアカシジミ.西風通信,(9):22-23.