レッドデータブックふくしまT 植物・昆虫類・鳥類 -376/451page

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1 鳥類の概要

福島県の面積は広大で、海岸から亜高山帯までを包含し、阿武隈川や阿賀川などの大河や猪苗代湖、桧原湖などの湖沼に恵まれている。またこれらの地形の複雑さに伴い、植物相も変化に富み、多くの鳥類の生息地となっている。とりわけ裏磐梯地域はかつては日本の三大鳥類生息地と呼ばれ、鳥類の宝庫として知られてきた。しかし近年はリゾート開発、スキー場建設など大規模な環境変革に伴って、鳥影は日に日に薄れ、アカハラ、オオヨシキリ、コヨシキリ、ノジコなど裏磐梯の指標種の激減を招いている。

県内で今までに確認された鳥類は293種にのぼる(「ふくしまの野鳥」:平成8年)が、鳥類の分布はその地域の植物分布や、地形、微気象などに支配されることが多く、かつ行動力が極めて大きいために、植物のような明瞭な分布境界を認めることはできない。

鳥類の生息環境を大別すると海及び海岸地域、河川・湖沼などの水辺、亜高山・高山帯、低山〜山地帯(標高400m〜800m)、耕地・水田などの多い村落、草原、市街地などとなるが、これらの環境の定義は難しく、また重複する地域が多く、生息鳥類も同じように各環境に重複して出現する種が多数認められる。

県内で特殊な分布を示すと考えられる鳥類は、海岸地域における旅鳥としてのシギ・チドリ類、河川・湖沼・灌がい用池などに渡来する冬鳥のカモ・ハクチョウ類などいずれも短期間滞在する種類に多い。また県内では局所的な分布を示し、しかも繁殖の確認されている種類ではコシアカツバメ(海岸、中通り)、ブッポウソウ(会津山地)などがあり、会津地方のニュウナイスズメやナキイスカなどは冬期の裏日本型の標徴種と考えられている。高地性の鳥としてはホシガラス、カヤクグリ、イワヒバリ、ビンズイなどがあるが、いずれも標高800m〜1,000m以上の高地に生息し、その数は少ない。

県内で生息が確認されている猛禽類は2科11属20種を数え、この中には留鳥のイヌワシ、クマタカ及びオオタカ、夏鳥として渡来するハチクマ、サシバも含まれそれぞれ繁殖が確認されている。また冬鳥のオジロワシ、オオワシ、チュウヒなども確認されている。

これらの猛禽類のうちイヌワシ、クマタカを代表とする10種が環境庁のレッドリストに掲載されているが、これらの種は個体数が少ないことや、行動圏が広く様々な人間活動との軋轢が懸念される点などから希少性が高いと考えられる。また、環境庁のレッドリストには記載されていないノスリやサシバなどの里山に生息する猛禽類の個体数についても、生息環境の変化に伴い強い減少傾向が見られ、その希少性が増加していると考えられる。

この他福島県内では迷鳥と考えられる種類には、アカアシミズナギドリ、クロコシジロウミツバメ、オオグンカンドリ、ムラサキサギ、コウノトリ、クロツラヘラサギ、ヒメチョウゲンボウ、タ
ンチョウ、ナベヅル、アカアシミツユビカモメ、クロハラアジサシ、ハジロクロハラアジサシ、アカアシアジサシ、ヒメアマツバメ、コクマルガラス、ミヤマガラス等がある。

以上のように福島県内の鳥相は多様であるが、近年は、全県下において土地造成、道路工事、河川開発などが進み、生息に適した森林環境等が減少するなど鳥類の生息域は狭められつつある。

2 調査手法

今回レッドデータブックふくしまを作成するにあたり、県内に生息する鳥類の分布状況に関する資料を把握するとともに、その生息基盤が脆弱で減少傾向にある種について、次のような基準及び


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福島県生活環境部環境政策室自然保護グループの許諾を受けて福島県教育委員会が加工・掲載しています。