レッドデータブックふくしまU 淡水魚類/両生類・爬虫類/哺乳類 - 001/122page

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T はじめに

1 「レッドデータブックふくしま」策定の背景

(野生生物保護に関する国際的な動向)

約40億年前、地球上に誕生した生物は、現在300万から3,000万種またはそれ以上存在するといわれており、様々な環境で進化を遂げてきた。そして、これらの生物は、進化の過程における環境の急激な変化などにより、多数の生物が短時間で絶滅するような現象を数回経験したといわれている。

近年においても多くの種が絶滅に至っているが、その速度は、これまで地球上の生物が長い時間をかけ進化の過程で経験した絶滅とは比べものにならないほど急激なもので、その原因の大半は人間活動によるものといわざるを得ない。

こうした状況が明らかになるにつれて、野生生物保護に対する国際的な危機感が高まり、1966年、国際自然保護連合(IUCN)は、哺乳類と鳥類について最初のレッドデータブックを作成した。このレッドデータブックは世界各地で野生生物の保護に広く利用され、さらに様々な地域で独自のレッドデータブックを生み出すきっかけとなった。

1971年には、「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」(ラムサール条約)が、そして1973年には、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」(ワシントン条約)が相次いで採択された。さらに、1992年にはブラジルのリオ・デ・ジャネイロで「環境と開発に関する国連会議」(地球サミット)が開催され、「持続可能な開発」を達成するための人類の具体的な行動計画となる「アジェンダ21」、そして生物多様性の保全や生物資源の持続可能な利用等を目的として「生物の多様性に関する条約」(以下「生物多様性条約」という。)などが採択された。

この会議から10年を経過した2002年8月には南アフリカのヨハネスブルクにおいて、「持続可能な開発に関する世界首脳会議」(環境・開発サミット)が開催され、生物多様性の損失速度を大幅に減少させる実施計画などが合意された。

(わが国の状況)

わが国においては、平成元年(1989)に財団法人日本自然保護協会と財団法人世界自然保護基金日本委員が発行した「我が国における保護上重要な植物種の現状」がレッドデータブックのはじまりであった。その後、平成3年(1991)には、環境庁(現環境省。以下同じ)が「日本の絶滅のおそれのある野生生物」脊椎動物編及び無脊椎動物編を発行し、野生生物に係る保護活動が盛んになり、地方自治体にもレッドデータブックを刊行する動きが広がった。

なお、その後再編された環境省は平成12年(2000)に新たに植物T(維管束植物)及び植物U(維管束植物以外)を発行した。また脊椎動物編及び無脊椎動物編のレッドデータブックについては、改訂作業を行い平成12年(2000)に両生・爬虫類を発行するとともに、平成14年(2002)には哺乳類及び鳥類を発行した。なお、残りの淡水魚類、昆虫類、貝類、その他の無脊椎動物については現在も改訂作業が続けられている。

一方、法体系の整備としては、昭和62年(1987)にワシントン条約規制対象種の国内における取引を規制する「絶滅のおそれのある野生動植物の譲渡の規制等に関する法律」が制定され、その後、絶滅のおそれのある野生動植物の種を体系的に保護する目的で平成5年(1993)に施行された「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」に引き継がれた。さらに同年、「生物多様性


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