レッドデータブックふくしまU 淡水魚類/両生類・爬虫類/哺乳類 - 004/122page
られる。したがって、他地域に同じ野生生物があるからといって、その地域の個体群を消滅させてしまってもよいということにはならない。また、人間活動等により、ある地域において種の絶滅のおそれが高まったからといって、地域性を考慮せず安易に他地域の個体を移入したり交雑させたりすることは、遺伝子の多様性保持の面からも好ましいことではない。
また、近年のペット・園芸ブームにより、淡水魚類も含め外来種や生息地が偏っている在来種が販売されており、こうした個体の逸出等により野生への定着が起こることが考えられ、地域個体群との交雑による遺伝子汚染や捕食、生態的地位の奪取による在来種への影響も懸念されている。
これらの課題を踏まえ、野生生物が生態系や自然環境の重要な構成要素であることにかんがみ、人間活動などがそれらに及ぼす影響を科学的知見により適正に評価し、行政機関、事業者、住民、非営利組織など(NPO、NGO)が連携して、それぞれの役割に基づきながら、規制を含む必要な対策を実施することにより、県内に生息、または生育する野生生物の保護を進めていく必要がある。