レッドデータブックふくしまU 淡水魚類/両生類・爬虫類/哺乳類 - 030/122page

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1 両生・爬虫類の概況

福島県は東北地方の最南部に位置し、日本で3番目の広大な面積を有し、本州中央脊梁山脈を境に日本海側の会津地方と太平洋側の中通り、浜通りとに分けることができる。植物分布上からは照葉樹林帯、夏緑樹林帯、針葉樹林帯、そしてハイマツ帯と変化に富み、さらに北方系と南方系の接触点ともなっている。したがって、ここに生存する両生・爬虫類はきわめて多様性に富んでいる。

福島県の両生・爬虫類についての記録で古いものは1943年の佐藤の報告にトウキョウサンショウウオの記述があり、浜通りのいわき地方と原町市に生息しているとされ、これが日本における北限とされている。しかし、その後の詳細な現地調査により原町市には生息の可能性が低く、おそらく同じ止水性のトウホクサンショウウオである可能性が高い。

1960年代になると山間部の高校生物部などで、特異な産卵で知られるモリアオガエルの生態的調査研究が実施されるようになった(県立田島高等学校1962)。日本経済の発展に伴って、生活が豊かになり、歴史を見直そうという雰囲気が醸成され、福島県史が1965年に出版され、自然編の中に両生・爬虫類について記述された。

1970年代になると、ローカル的な生物同好会誌、大学の生物研究会誌、それにローカル新聞社企画の動物誌などにサンショウウオの記載が見られるようになり、同時に市町村史が各地で出版され、動物(両生・爬虫類)の記述が多くなってきた。

1979年には、環境庁委託調査による第2回自然環境基礎調査の一環として両生・爬虫類の分布調査報告がなされた。全国版としてもモリアオガエル、ハコネサンショウウオ、トウホクサンショウウオ、クロサンショウウオなどが報告された。

1980年代に入ると、市町村史の中に自然編として、かなり詳細に記述されることが多くなった。

その後、日本全体的な調査も実施され、両生・爬虫類分布調査報告書(環境庁自然保護局1993)も公表され、日本全体的に見た福島県の分布状況も次第に明らかになってきた。個人の調査研究も多くなり(稲葉1999)、かなり詳しい分布調査もなされている。また、生物多様性調査の一環として両生・爬虫類の動物分布調査報告書(環境省自然保護局生物多様性センター2001)が発行された。

今回の調査では両生類17種はサンショウウオ目5種(トウキョウサンショウウオ、トウホクサンショウウオ、クロサンショウウオ、ハコネサンショウウオ、イモリ)、カエル目12種(トノサマガ
エル、トウキョウダルマガエル、タゴガエル、アマガエル、ウシガエル、ニホンヒキガエル、ニホンアカガエル、ヤマアカガエル、シュレーゲルアオガエル、モリアオガエル、ツチガエル、カジカガエル)で、爬虫類12種はカメ目3種(アカウミガメ、クサガメ、アカミミガメ)、トカゲ目トカゲ科2種(ニホントカゲ、カナヘビ)、トカゲ目ヘビ科7種(アオダイショウ、シマヘビ、ヤマカガシ、ジムグリ、ヒバカリ、シロマダラ、マムシ)が確認された。上記の文献などによる確認3種(ヤモリ、イシガメ、タカチホヘビ)を加えると、県内の生息種は32種となった。

サンショウウオ目5種の中で、特にトウキョウサンショウウオについては住宅近くの止水中に産卵しているため、著しい減少が心配される。生息地が低山、丘陵の湧水地が中心となっているため、開発行為が最も加えられやすい地域である。トウホクサンショウウオは、水の流れが緩やかな所からやや急な所まで広く生息し、特に緩やかな場所で産卵が確認されている。クロサンショウウオは尾瀬など高地にも分布し、池沼のように水の移動がない場所で産卵が確認されている。両種とも県内に広くみられる種だが、生息地は地域的な生息環境の悪化が懸念されるところが多い。ハコネサ


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福島県生活環境部環境政策室自然保護グループの許諾を受けて福島県教育委員会が加工・掲載しています。