レッドデータブックふくしまU 淡水魚類/両生類・爬虫類/哺乳類 -073/122page

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また、本法に基づき指定される生息地等保護区においては、通常の開発行為の規制の他、対象種保護のために必要なきめこまやかな対策(対象種の生息・生育に支障を及ぼすおそれのある動植物種の放逐や植栽、有害化学物質の散布、不適切な観察行為の規制など)が盛り込まれているが、全国で7カ所が指定されているのみで、本県においては指定地域が存在せず、本県の希少野生生物の保護対策として実効性の高いものとはなっていない。
   ※ 参考資料2参照

ウ 文化財保護法

本法では、学術上価値の高い動植物が天然記念物として指定されるが、動物ではイヌワシ、カモシカ等地域を定めず指定されているもの(種指定)と渡来地・繁殖地・生息地が対象種とともに指定されているもの(地域指定)があり、植物では名木とされるものが単独で指定されているもの(単木指定)と自生地・群落さらには天然林、原始林などが指定されている。さらに尾瀬のように多数の天然記念物が存在する区域は天然保護区域とされている。また、県および市町村レベルでは、それぞれの条例に基づき天然記念物の指定が行われている。

天然記念物の保護はその現状の変更や保存に影響を与える行為を規制することによって行われ、種指定の場合は、対象種の捕獲のみの規制であるが、地域指定の場合は、様々な行為が規制対象となる。この場合、趣旨に沿ってきめこまやかな運用がなされれば極めて有効な保護対策となりうるが、現状と照らし規定に曖昧さが残り、適切な対策をとりにくい面がある。

また、天然記念物のうち、動植物は学術上の価値の高さから指定されるため、生物の多様性、希少性の観点から指定を行うことには困難が伴う。
   ※ 参考資料3参照

エ 自然環境保全法

本法は、国土の自然を体系的に保全することを目的として制定され、野生生物を含む自然環境の保全に関する基本法的な性格を有している。本法に基づき指定される自然環境保全地域等は、自然公園とともに、我が国の自然環境・景観を体系的に保全する自然保護地域系列の中心となっている。

野生生物の保護に関しては、指定地自体が野生生物の生息・生育地と考えられ、開発行為の規制制度によって、その保全に寄与しているが、捕獲・採取に関しては、原生自然環境保全地域の全域、自然環境保全地域及び都道府県自然環境保全地域における野生動植物保護地区において野生生物の全部あるいは一部が規制の対象となっている。

県内には、原生自然環境保全地域及び自然環境保全地域は存在しないが、福島県自然環境保全条例に基づく自然環境保全地域が47カ所指定されている。希少野生生物の生息・生育地は野生動植物保護地区の対象となりうるが、現在のところ指定地の数も少なく、対象種も「ふくしまレッドリスト」掲載種はごく一部が含まれるのみで、希少野生生物の保護対策としては十分に機能しているとは言えない状況である。


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福島県生活環境部環境政策室自然保護グループの許諾を受けて福島県教育委員会が加工・掲載しています。