理科野外観察の手引びき(小・中学校編)-026/82page
この低木のしげみと多年生植物の草原とがまじりあ一・た状態がしばらく続きますが,だんだん低木が優勢になり,さらにアカマツやコナラなど日左たを好む陽一樹が芽生えてくるようになります。こうした陽樹がのびると,今までの草原や低木林は森林の姿に変わってきます。
最初にできる高木の林は,みな日なたでよく育つ陽樹の仲間ですが,よくしげってくると太陽の光をさえぎって,林の中は暗くなってしまいます。
そのため,林の中では,これまでの陽樹の若木や芽二えは二活できなくなり,こうした日かげの暗いところにも耐えて育つ陰樹のシイ・カシ・ブナなどの若木がふえてきます。
そこで今まで生育していた陽樹の高木がだんだん少なくなるにつれ,林の中の暗いところに耐えていた陰樹がのび出して,林はしだいに陰樹のシイ・カシ・ブナなどの高木林に移り変わります。
陰樹の林ができあがっても,その樹の下には同じ陰樹の仲間の若木や芽二えが生活しているので,いつまでも陰樹の高木林となって安定します。この状態を,安定期あるいは極相といいま丸このような植物の移りかわりは,森林を伐採したあとにもおこります。
図-29 ススキ草原に侵入してきたアカマツ(耶麻郡猪苗代町)