理科野外観察の手引びき(小・中学校編)-040/82page
だけかたは異なりますが,カコウ岩のように,含まれる鉱物が大きい場合には,大岩塊から直接砂状の粒子に分解されていきます。このような風化のようすは,阿武限山地の力コウ岩地帯にはいたるところに見られま丸一見硬そうに見えるものも,手でくずれるほどもろくなっているものが多く見つけられます。図-43は砂岩と凝灰岩の互層が風化されているものですが表面がぼろぼろにくずれ,雨や風によってはがされていくようすがわかります。
また.機械的に岩石がこわされていく原因に植物の根の働きがあります。植物の根は,小さなすき間にで
も入りこみ,二活できる環境であれば,その場所で成長をはじめます。この植物の根の二長ずる力が,岩石のすき間を押し広げ,やがては大きな岩石をくずすことになるのです。図一"は岩石の割れ目にアカマツが入りこみ成長を続けているところです。
一方,化学的風化では,水が中心とな’・て,岩石を酸化したり,加水分解した,,溶かしたりしていきます。化学的風化の代表的なものに図-45のよう左石灰岩地帯にできる鐘乳洞や,カルスト地形があります。これらは,空気中の二酸化炭素が水に溶け,炭酸となって石灰岩を溶かしていくために起こる風化です。本県には,田村郡大越町と相馬市から原町市にかけて分布する石灰岩地帯(一部結晶質石灰岩)がありますが,いずれにも化学的風化をうげた鐘乳洞ができています。
カコウ岩が地表にあらわれている地方では.半透明の白い砂をみうけることが
あります。これは水の作用をうけやすいチョウ石が粘土に変化し,作用をうけにくいセキ工イが残ったためにできた化学的風化作用左のです。
焼きものに使われる陶土もまた化学的風化作崩によってできたものです。会津本郷焼きに使われる陶土は,リュウモンギ}から風化したものてす。
図-44 岩石の割れ目に入るアカマツの根(郡山市多田野)
図-45 風化されていく石灰岩地帯(田村郡大越町)