理科野外観察の手引びき(小・中学校編)-041/82page

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図-46 切り立ったV字谷(磐梯吾妻スカイラインつばくろ谷)
図-46 切り立ったV字谷(磐梯吾妻スカイラインつばくろ谷)

20流水は地表をどのようにけずりとっていくのだろうか

澄みきった川も,ひとたび雨が降り出すと,にごった流水に変わってきます。流れが地表をけずりはじめたのです。
ひとつの)川を下流からさか登っていくと,河原の広がりや,れきの大きさ,川の曲りかた,流水の速さなどがしだいに変わっていきます。上流では川幅はせまく図-46のようにV字型(V字谷)になり流水はさかんに川底をけずっていきます(下方浸食)。川底に岩盤が出ている場合でも,節理や層理などの割れ目に沿って,岩塊をもぎとっていきます。砂やれきが混ざった流れは,さらにけずりとる力が大きくなり,岩石を研磨するようにけずりとっていきます。
上流では,一般に川底をけずる働きが大きく1乍用しますが,やがて,流量が増してくると流れは川岸をけずりはじめます(側方浸食)。特に川が曲がっていると,流速の最大地点は,慣性のため河岸に片寄ってあらわれ,側方浸食は川の凹岸部にあらわれてきます。図-47はサ岩とデイ岩の互層からできている会津の塔のへっりです。ここは川の凹岸部にあたり,やわらかい部分が流水によってけずワとられた様子がわかります。
川の水がおこなう浸食作用は,ひとつの川を上流から下流へ,または下流から上流へ観察していくことによって,いろいろな部分の浸食1乍用を観察することができます。しかし授業の中で野外観察を行う場合には,せいぜい1〜2個所になってしまうのが現状です。このような時には,雨あがりのグランドに流れる雨水の流れを観察させるのもひとつの方法です。規模は小さくても,流水による侵食のようすが,よくとらえられます。
海水の運動も,また,地表を浸食します。
波が海岸の岩石にぶつかる力は非常に大きく,


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