理科野外観察の手引びき(小・中学校編)-043/82page

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21けずりとられた土砂はどのようにして運ばれたい積していくのだろうか

ビーカーに水と土砂を入れてかき回すと,やがて流速がおとろえ,大きな粒の動きが止まり,たい積をしはじめる様子が観察できます。自然の河川でもたい積は流速のおとろえとつなかっているのです。流速か2分の1になると,運搬する力は64分の1に減少してしまいます。
山地から平地に出た川が扇状地をつくることや,河口に三角州が出来ることなどは,たい積する粒の大きさの違いだけで現象としては同じことです。図-49は,川の支流が本流に合流するところですが,本流のゆるやかな流れのため.支:流の土砂かたい相し,河口にみられる三角州のような形をつくっています。また,図-50は,沿岸流が,川の流れのために弱められ,運搬してきた砂を川の運んできた土砂とともにたい模したものです。二つの現象とも流速のおとろえという共通の要因があります。
図-51は,川の蛇行の航空写真です。護岸工事が行なわれている河川でも,流速のおそくなる部分ができると,図のようにたい債をはじめます。川はいったん曲りはじめると,前にも述べたように外側の流速が大きくなり,浸食作用が大きく働き,内側にはたい積が行なわれるようになります。護岸工事の行なわれていない自然の堤防では,川はますます蛇行していくことになります。
この写真をよく見ると,三日月形をしたもとの川の跡がわかります。これらの跡は過去に何回か流れが変ったことを意味しています。堤防が決壊して大量の土砂をたい積し,川の流れが変り,また決壊するということがくりかえされてできたのがこのような跡なのです。

図-49 本流にたい積した支流の土砂(福島市須川)
図-49 本流にたい積した支流の土砂(福島市須川)
図-50 川と波によって運ばれた土砂のたい積(阿武隈川河口)
図-50 川と波によって運ばれた土砂のたい積(阿武隈川河口)

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