理科野外観察の手引びき(小・中学校編)-063/82page

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30火山活動によってどれだけのエネルギーが放出されるのだろうか

火山の活動によって地下の膨大なエネルギーが,地表に放出されています。
私たちの正活には,それらが,ある時には恩恵をもたらしたり,あるときには災害をもたらしたこともあります。ここでは,県内の火山(特に磐梯山の爆発)を例に考えてみたいと思います。いうまでもなく磐梯山の山体全部ができるための活動は古く,その時のエネルギーは,はかり知れないものがありますが,明治21年の爆発の場合については,かなり良く計算されております。
いままで発表されているものによりますと,爆発の圧力は,303気圧で,噴火の総エネルギーは1023エルグとされています。このことは,爆発の時に流し出された泥の速さが,時速45、75qであることや,その噴出量が約1,200km2に達していることなどをもとに計算することができます。
この爆発は,日本全体の山と比較しますと,かなり小規模なものですし,磐梯山全体からみても,ごく小規模だろうと思われますが,一体1023エルグというのはどれだけのエネルギーなのかを他のものと比較してみましょう。
各家庭で使っているプロパンガスのボンベをいま10kg入りのものとし,全国のものを全部集めて一度に火をつけるぐらいのエネルギーとなります。また,日本全国(人口約1億人)の人たちを,磐梯山に全部あげたとすると,これがなんと200kmも上空にとばされてしまうエネルギーなのです。
このことでもわかるように,磐梯の明治21年の爆発は小規模とはいっても,大部大量のエネルギーを放出したことになります。
一方,火山とは切っても切れないものに温泉がありますが,福島県はまた,全国で有数の温泉県でもあります。この温泉が運び出すエネルギーも膨大なもので,これらは,私たちに大いに利用されております。福島県には,温泉場が,35か所あるといわれ(県史より),その温泉量は1日で63,300トン以上とされています。さて,ひとくちに温泉といっても,いろいろの種類に分けることができます。古い時代に活動したカコウ岩中に出る温泉(母畑など),第三紀の火山活動に関係した比較的古い温泉(飯坂、東山,湯本など),新しい時代の温泉(岳,沼尻,川上,信夫など)があげら,れ,その成分もそれぞれ違った特徴があります。
火山のエネルギーそれは,はかり知れない実に大きなものなのです。


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