理科野外観察の手引びき(小・中学校編)-079/82page
4古地理
私たちには,少しも変化しているように見えない自然も,昔の様子を調べてみると,こんなにも移り変ってきたのかなあと驚くことが多くあります。
私たちの住む福島県の土地も,その例にもれません。今から約1億年ぐらい前すなわち,白亜(はくあ)紀の時代といわれたころには,図-108に示したような水陸の分布になっていたであろうと考えられています。このころは,日本列島の地盤が全域にわたって,激しく運動していた時代で,阿武隈山地なども,この時代の少し前にはできあがっていたであろうといわれています。
第三紀の中頃(約3,000万年前ごろ)になると,図-109,上のように,広く県内は海水でおおわれてきて,各地では火山灰を多量に噴出する火山活動がおこなわれるようになりました。そして,その時に堆積した凝灰岩の地層からは,多量の動物化石が発見されています。この化石から,当時の海は暖かい浅い海であったこともわかりました。
この時代も終りごろ(第三紀中新世末期)になると,石英安山岩や流モン岩などの火山岩の噴出にともなって各地が,浮きあがってきはじめ,海が少しずつしりぞいていくよう}こなりました。
このような浮き上りは,平均的ではなく,今の会津盆地や,福島,田島などの盆地を残しています。現在の地形は,ほぼこの時期に骨組みができ上ったと考えられています(図-109,下参照)
図-108 第三紀以前の海と陸(福島県史より)