中学校技術・家庭科学習指導資料-048/50page
この図をみてもわかるように,電圧の波形と電流の波形は重なっているのである。従って,例えば,(b)の(イ)の瞬間の電力Pは,P=e×iで示され,(ロ)の電力P'は,P'=e'×i'になる。このことから,各瞬間の電力は,縦の線の入ったグラフになる。このように,交流1Hzの間に、電力は二度最大になることがわかる。そこで,この最大電力を平均電力で示すならば,
平均電力=Em×Im/2=E×I(ワット)
になり,普通,電圧計や電流計の実効値の積は,この平均電力なのである。
(a) (b) 図−2 次に,けい光燈の場合はどうであろうか。図−2(b)のように,交流電流は,交流電圧より,ある角度(ψ)だけ遅れて流れるのである。このことは,安定器を利用した誘導電動機の教具製作のところで説明したとおりである。(b)をみてもわかるように,図−1同様,1Hzの間に二度電力が最大になるのである。ところが,abの期間とcdの期間では,電流や電圧が反対の向きに流れているのがわかろだろう。電圧と電流が反対に働くと,負の電力になるのである。負の電力というのは,電源からけい光燈に入ってくる電力ではなく,電源に払い戻す電力なのである。従って,けい光燈に入ってくる電力は,図−1の電気アイロンに入る電力より減少するのである。
このように,交流の電力は,電圧と電流のずれている角(ψ),つまり,位相差いかんにより決るのである。この角を示すのがcosψであり,力率なのである。
一般に,負荷の力率は,できるだけ1に近いことがのぞましい。力率が低いと,同一電力に対して電流が大きくなろため,電線,開閉器,変電圧などは容量の大きいものを用いる必要がでてくる。従って,回路にコンデンサを使用して力率の改善をはかるのである。コンデンサを負荷と並列に接続すると,コンデンサに流れる電流は.電圧よりも進むので,互いに打ち消し合って力率がよくなるのである。