高等学校「理科1」のてびき-018/133page
(指導資料) 3 運動の法則
1 ねらい
運動の法則は抽象性が高く、多分に観念的である。生徒にとっては理解しにくいものの1つとなっている。さきにおこなった「1.連動の記録」をもとにして、運動の法則を経験として成立つ法則であることを「手で引っぱる」という体験によってとらえさせる。
そこで、この実験を通して具体的には
(1) 動き出すときのおそい運動からスピードの出たときまで「一定の力を加えつづけるという」直接の体験をさせる。
(2) テープの打点のデーターの処理を通じて「1.運動の記録」の学習を定着させる。
(3) ゴムヒモの本数を1本、2本、と変えたときのV-tグラフを1つのグラフ面にかき、4個のグラフのあいだに、さらにどんな関係があるかという、一歩ふみこんだ考察を学習させる。
(4) a-mグラフとa-1/mグラフを書いて比較考察することにより、適切なグラフの表し方について学習させる。
2 準備
(1) 記録タイマーは直流式よりも交流式の方が適していろ。
(2) おもりとして市販品もあるがレンガ、砂袋等でまにあう。重さは1kg程度がよし目じるし付木棒。(約1cm角で長さ90cmのものが日曜大工の店などで1本100円程度で買える。)ゴムひもの伸びたときの長さが約60cmのところに目じるしをつける。また、ゴムを引きやすくするための釘を打つなどしておく。
(4) 実験机が水平でなかったり、机面が傷ついているようなときには棚板などを別に用意する。
(5) ゴムヒモはなるべく細いもの(弱い力でよくのびろ)を用意する。台ばかりは秤量2kgまたは4kgのものが適当である。
(7) テープはあらかじめ約1mに切っておいたものを用意して配布する。
3 方法・処理
(1) テープ、ゴムヒモを台車にとりつけるにはセロハンテープを用いる。
(2) ゴムひもを一定の力で引くことはなれないとうまくいかないのでよく練習する。
(3) テープの打点を見渡しむらがない良好なところをえらんで用いる。
(4) ゴムひもの強さによって打点の密度がちがうから、打点をみて適当な打点数をえらんで区切る。このとき、ゴムひもの本数が4本になると打点間隔が大きくなることも見越して打点数をえらぶ必要がある。
(5) ゴムひもの本数を変えるとき、もとの長さを最初と同じにしなければならない。ゴムひもの伸びが同じならば引っぱる力はゴムひもの本数に比例することを前提条件とするためである。
(6) 平均の速さ・加速度の時間の単位は1打間隔であらわす。
(7) テープの打点の時間間隔を測ることにより、速さ、加速度の単位を「秒」に、ゴムひもの伸びによる引っぱり力をばねばかりで測ることにより、力の単位を「N」にすることもできる。