高等学校「理科1」のてびき-019/133page

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4 結果と考察

(1) V-tグラフはほぼ直線になる。これは加速度が一定であることをあらわす。

(2) ゴムひもの引っぱり力が一定であっても、台車が受ける力(合力)は一定とは限らない。ゴムの引っぱり力以外には、机との摩擦、水平でないための重力の影響、車軸の回転摩擦等の影響が考えられる。

(3) 運動の開始時刻が不明なので、V-tグラフの直線は一般に原点を通らない。

(4) 同質の同じ長さのゴムひもを同じ長さだけ伸ばしたとき、生ずる引っぱり力は同じと考えられる。

(5) 加速度が質量に反比例するときは、a-mグラフは双曲線・a-1/mグラフは原点を通る直線になる。a-1/mグラフが原点を通る直線になれば、加速度が質量に反比例することが確かめられたことになる。

5 留意点

(1) ゴムひもを水平に一定の大きさの力で引くということは,思ったよりめんどうである。したがって、この実験から得られるV-tグラフなどの諸結果は大まかに見て運動の法則の確かめとなっていれば、それで満足してよいと言える。もっと定量的な結果を望むならば、手で引くのではなく、たとえば滑車を通しておもりで台車を引っぱるような別の実験法によらねばならない。

(2) このようなどちらかというと定性的な実験であるから力の大きさの単位をゴムひもの本数とした。

なお、本実験でゴムひもの長さを記録させるようにしたのは、その伸びのときの力をばねばかりで求めることができることを考慮したためである。

(3) ゴムひもを一定の力で引くときの誤差をなるべく小さくするためには

1) 実験者がなるべく引きやすいような道具を使う。

2) 同じ引き方をしても誤差が小さいような工夫をする。(弱いゴムを用いるなど)

(4) V-tグラフ、a-Fグラフ、a-1/mグラフなど、データーからグラフにするのは生徒にとってはかなりわかりにくい。目盛りのとり方、単.位のつけ方など丁寧に指導したい。

(5) この実験は練習をすろ必要もあり、時間を食われるから要領よく実験をすることが大切である。打点をとったテープの処理は時間外にもできるから、まずテープに打点をとることだけは時間内にし終るよう指導する。

このとき十数本のテープがとれるから各テープにこれはゴムひもが2本のとき、これは3本のときのものとわかるよう符ちょうを必ず記入しておくようにする。

(6) 授業時間数が不足したときは、(その1)、(その2)のいずれか一方を実施するだけでもよい。


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