高等学校「理科1」のてびき-080/133page
(指導資料) 17 ショウジョウバエの遺伝
1 ねらい
高等学校の遺伝実験として、モデル実験、だ液腺染色体の観察などがとりあげられているが、ショウジョウバエの交配実験は、生き物を扱いしかも単性雑種、両性雑種はもちろん伴性、致死、複対立、連鎖に関するものまで交配実験ができるので、高校の遺伝実験としてこれに勝るものはない。ショウジョウバエが実験材料としてすぐれている理由は次の通りである。
(1) 飼育が容易で人工飼料でよく、安価である。
(2) 1代の期間が短かい (25℃で10日、1年で30代まで観察加能)
(3) 繁殖力旺盛で子孫を多く産む。
(4) 突然変異が見つけ易く、観察しやすい。
(5) だ液腺染色体の観察による細胞学的染色体地図の確認が可能となった。
この実験では遺伝の法則を理解させることをねらいとするのはいうまでもないが、ショウジョウバエという活発に動きまわる生き物を材料とすることによって、モデル実験、スライド、問題演習などでは得られない生物教育の効果を期待できることである。
実験期間を短縮するために、教師があらかじめ交配して得たF1を、生徒にはその交配組合わせを知らせずに与え、F2を観察させてPを推定させる。いわゆる謎解き方式を採用した。
本来、科学は探究のおもしろさによって支えられているはずであるが、生物実験では確認実験に終始しがちであるので、ここでは探究の楽しさを味わうこともねらいの1つとした。
2 準備
(1) 日程
教師が交配して生徒へF1を配布するためには、およそ次の飼育管理をともなうので、実験開始1ケ月位前より準備が必要である。