高等学校「理科1」のてびき-081/133page
(2) 突然変異の種類
実験成功のためには初心者でもすぐに形質の判定しやすい突然変異をえらぶことが大切である。次の形質は失敗が少ない。
1) 翅に関する形質
痕跡翅(vg)、タクシー翅(tx)、短翅(m、X染色体上)
2) 体色に関する形質
黒檀体色(エボニーe)、黒体色(b)、黄体色(y、X染色体上)
3) 眼の色に関する形質
セピア眼(Se)、シン砂色眼(シンナバー、Cn)、白眼(w、X染色体上)
(3) 交配計画
1) 両性雑種
vg×e(体色正常・痕跡翅、x黒壇体色・正常翅、遺伝子型の表わし方は、++vgvg×ee++やEEvgvg×eeVgVg)、Se×vg、Se×b、vgは生存力が弱く羽化率が低下するので理論値にくらべ個体数が少なくなる。
2) 伴性遺伝
w×+(野生型)、m×+、y×+交配組合せには、染色体地図を参考にして、同じ連鎖群の形質に注意しなければならない。
(4) 処女バエ(バージン)のあつめ方
羽化後6〜8時間以内のハエは雌雄が同じ飼育瓶内にいても交尾しないので、この時間に羽化したハエを集めるとバージンである。
例えば、羽化しはじめた飼育瓶内のハエを朝9時にすべて出し、午後3時頃まで羽化したハエの中の雌はすべてバージンである。雄バエは羽化2〜3日後の元気なハエを交配用に用いるとよい。
(5) ショウジョウバエの入手
県内各地区の高校でも突然変異体を飼育している学校もあるので分けて貰うとよい。
また、次のところでも分けて貰えるので管瓶を送り依頼するとよい。
城西大学 生物学研究室
東京都立大学 生物学教室遺伝学研究室
お茶の火女子大学 生物学教室
(6) えさのつくり方
いろいろな処方があるが、次の培地はよく使われる。
水…………………400ml
コーンスターチ…30グラム
黒砂糖……………20グラム
寒天末……………4.5グラム
ボーキニンB……3ml
(コウボ菌………10グラム
管瓶30本(牛乳瓶10本分)