高等学校「理科1」のてびき-101/133page
3 方法
(1) 振動しているふりこは、外力が加わらないかぎり振動方向を変えることはないことを、長周期ふりこを用いて確認させる。
(2) 北半球でふりこを振らせると、その振動面は右まわりに回転することを知らせ、その原因を予想させる。
(3) 北極点でふりこを振動きせた場合をモデルを用いて調べる。
ア、台紙(A)を実験器にセットし回転台にのせる。
イ、ふりこをA-A'の方向に振動させ、回転台を静かに回転させ、そのときの回転板の回転方向とふりこの振動面の変化の方向の関係をみさせる。
ウ、回転台の回転量と、ふりこの振動面の回転量との関係をよみとらせる。
エ、回転板が継続して回転すると仮定すれば、台紙上の経線に対するふりこの振動面の方向は、どのように変化するかを考えさせる。
(4) 赤道でふりこを振動させた場合をモデルを用いて調べる。
ア、実験器の底に塩化ビニルパイプを取りつける。台紙(C)をセットする。
イ、実験器を右に傾けて、ふりこをA-A'線上で振動させる。
ウ、静かに実験器を左にかたむけながら、ふりこの振動面の方向が経線に対してどのように変化するかを観察する。
(5) 中緯度でふりこを振動させた場合をモデルを用いて調べる。
ア、(4)と同様にし、台紙(B)をセットして実験する。
4 結果
実験(3)、(5)では、経線に対してふりこの振動面の方向が変化する。特に(3)では、回転台の回転方向とふりこの振動面の回転方向が反対で、その量の絶対値が等しいことがわかる。
この事実から、ふりこの振動面が角速度ωで右まわりの運動をするのは、地球が角速度ωで左まわりの運動をしていることを理解させることができる。
また、実験(3)、(5)の結果から緯度が高くなるほど経線の方向に対するふりこの振動面の変化量が大きくなる事実を理解させ、各緯度におけるふりこの回転周期(測定値)を与えることによってω=Ωsinφを導かせることが可能である。
5 留意点
実験器の自作では、ふりこの振動面が安定するよう工夫する必要がある。
回転台の代用として、カメラ用雲台を使用すれば(3)〜(5)の実験は装置の変換が不用である。