高等学校「理科1」のてびき-124/133page

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(演示実験) 9 呈色反応による成分元素の検出に関する実験

1 ねらい

鉄イオンの特有の呈色反応を利用して、物質の成分として含まれている鉄を検出できることを理解させ、物質の成分検出に対する興味と関心を高める。

2 準備

5%ナオシアン酸カリウム溶液、1M硝酸、3M塩酸、鉄線、砂、ホウレン草(乾燥させたもの)、試験管、蒸発皿、ガスバーナー

3 実験方法と指導上の留意点

(1) 鉄イオン呈色反応鉄イオン検出のための方法として、フェリシアンイオンや、フェロシアンイオンによる沈でん反応があるが、ここではチオシアン酸イオンとの呈色反応を利用する。ただし、このイオンは三価の鉄イオンとしか反応しないので、検出する鉄イオンはすべて、硝酸で酸化して三価の鉄イオンとしてから発色させる。この呈色反応をイオン反応式で示せば下記のようになるが、理科1では錯イオンは扱わないので、これを生徒に示す必要はなく、この反応を利用して鉄イオンが検出できることを理解させればよい。

Fe3+SCN- → Fe(SCN)2+

(2) 実験方法

1) 鉄線による呈色

・この実験により硝酸で溶解した鉄は特有の呈色反応を示すことを理解させる。鉄線を1M硝酸溶液に入れて、静かに加熱し、反応が激しくなったら、加熱をやめて鉄線をとり除き、冷却した後これに5%チオシアン酸カリ溶液を少量加えて血赤色に発色させる。この実験により硝酸で溶解した鉄はチオシアン酸カリと特有の呈色反応を示すことを理解させる。

2) 砂の中に含まれる鉄分の検出砂を2g程度試験管にとり、1M硝酸を5ml位加えて加熱した後、ろ過しろ液に5%チオシアン酸カリウム溶液を少量加える。

3) ホウレン草中の鉄分の検出乾燥したホウレン草の葉をピンセットではさんで、バーナーで焼き、黒くなったら蒸発皿に移して1M硝酸5〜10mlを加える。黒い灰を砕いて1M硝酸とよく混合した後、試験管に入れて加熱する。加熱後、ろ過し、ろ液に5%チオシアン酸カリウムを少量加える。

※ この実験は簡単なので、砂かホウレン草のいずれか一万を生徒に実験させれば一層興味を高めることができる。


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