高等学校「理科1」のてびき-125/133page
(演示実験) 10 モル
1 ねらい
中学校においては、物質量を表すのに質量を用いていた。ここでは、身近かな物質の1モルを観察することにより、物質量をモル単位で表すことを学び、化学の基本概念である物質の粒子性について理解を深める。
2 準備
金属ナトリウム、鉄、エチルアルコール、砂糖、塩化ナトリウム、木炭、イオウ、石油、広口びん500ml1本、広口びん100ml6本、細口びん(100ml)2本
3 観察
次の表のように、各々の物質の1モル量をびんに入れておき観察させる。
物質1モルの質量
ナトリウム
Na鉄
Fe水
H2Oエチルア
ルコール
C2H5OH砂糖
C12H22O11塩化
ナトリウム
NaCI木 炭
Cイオウ
S二酸化炭素
CO223.0 55.8 18.0 46.0 342 58.5 12.0 32.1 44.0
注1 : 金属ナトリウムは空気中で酸化が速いので、石油中に入れておく。
注2 : 二酸化炭素については、気体1モルの体積を箱等で示せばよい。
4 観察と指導の要点
上の物質の1モル量を観察させながら、次の点に留意して説明するとよい。
(1) 原子量や分子量(式量)にグラムの単位をつけた量が1モルであること。
(2) 原子や分子は極めて小さいので、物質量としてモル単位を用いること。
(3) 物質1モル中には同数の粒子(原子、分子など)、即ち6.02×1023個含まれること。
(4) 水とエチルアルコールの体積の差は分子の大きさの差に関係あることを分子式と対比させて考えさせる。(極性についてはふれない)
(5) 砂糖1モルの体積が大きいのは分子を構成する原子数が多いためであることを分子式と対比させて考えさせる。
(6) 気体1モルの体積は固体や液体に比べて大きいわけを考えさせる。
1モル量の観察によって、モルによる物質量の表現が十分理解されたかどうか、次のような問題によって確認してみる。
(1) 水の1.8gは何モルか。また、この中には何個の水分子が含まれるか。
(2) 砂糖分子1個の質量はいくらか。
(3) 3.0×1022の炭素原子の質量はいくらか。
(4) 気体1モルの体積は固体や液体に比べて大きいのはなぜか。