高等学校「理科1」のてびき-131/133page
(3) 胞子を播く。(胞子を多く播きすぎないように注意すること。)
(4) 室温は20〜25℃位で直射日光をさけて培養する。シャーレはふたをしておく。
(5) 3日ごとに培養液表面より柄つき針で発生中の個体をスライドガラスにとって顕微鏡で観察するか、直接シャーレをステージにのせて観察する。(継続観察の場合)
双眼実体顕微鏡で観察すると立体観があり観察しやすい。
(6) 精子の観察は幼植物が2〜3個出た時に実施する。造精器をもつ前葉体をスライドガラスにとり、裏面を上にして水を1滴おとし、顕微鏡の絞りをしぼって高倍率(600倍)で検鏡する。
4 留意点、その他
(1) 幼植物が生えたら、小型シャーレごと腰高シャーレに移すとよい。
(2) 幼植物は乾燥に弱いので急に風に当てたりしないようにしなければならない。
(3) 胞子を密に播いた場合や光が不足した場合は、前葉体はハート型にならずシャモジ型か1〜2列の糸状になる。このようなシャモジ型の前葉体は造卵器をつけず造精器ばかりである。従って、胞子はなるべく薄く播くとよい。
(4) 胞子が発芽し糸状に成長する細胞は、形も大きく、細胞壁も薄く葉緑体の観察によい。
(5) 仮根は原形質流動の観察に都合がよい。
(6) 簡易寒天培地(ハイポネックス1g、水1000ml、寒天末10g)をつくり、胞子をうすく播き、乾燥しないように管理できれば、水栽培より前葉体の観察はしやすい。