-野外観察の手びき-中通り・会津の地層と川原-006/231page

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2 福島県土のおいたち

 全国でも3番目に広い福島県土には,日本列島の誕生から現在に至るまでの各地質時代のできごとを秘めた地層や地形の多くが大切に保存されています。

 現在の日本列島は長い地質時代を通して何回もの地殻変動をうけ,あるときは海底に,あるときは大陸の一部に,あるときは島国にといろいろ姿を変えて,現在の列島が誕生しました。ここでは日本列島で起った地殻変動の過程で,福島県土がどのような道をたどって現在の姿にいたったか,現在につながる県土のおいたちの歴史をたどってみましょう。

1、先カンブリア紀のできごと(5億7000万年以前)

 いわき市湯本から石川町に通ずる御斎所街道沿いには,庭石としてよく知られた緑色をし,うすく割れやすい性質をもつ緑色片岩や,白黒のしま模様をもつ花こう岩に似た片麻岩類が観察されます。

 これらの岩石は御斎所・竹貫変成岩類と呼ばれており,従来,これらの岩石の変成を受ける前の原岩は,古生代の堆積岩と考えられていました。そして,中生代末の大規模な花こう岩の貫入により,高温低圧型の変成作用をうけて片麻岩類に変わったことが,片麻岩類の変成鉱物を調べてわかっていました。

 ところが,この片麻岩類中から,十字石やラン晶石といった,低温高圧型の変成作用をうけないとできない変成鉱物が見つかり,中生代末の変成作用の前に,少なくとも,もう一回変成作用を受けたのではないかと考えられるようになりました。

 その時期は先カンブリア紀か,シルル紀〜デボン紀と推定されます。こうなると,その変成作用をうける前の原岩は,先カンブリア紀に堆積したことになるのです。 したがって,御斎所,竹貫,阿武隈山地一帯は,すでに先カンブリア紀には,海
先カンブリア代後期のアジア大陸東縁部

(点をほどこしたところは陸地)

先カンブリア代後期のアジア大陸東縁部


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