-野外観察の手びき-中通り・会津の地層と川原-007/231page

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におおわれ,海底には泥がたい積し,海底火山も盛んであったと思われます。

 御斎所街道に見られる変成岩類は,福島県土はもとより,広く日本列島の基盤をつくっている最古の岩石と考えられるようになりました。そして,先カンブリア紀末期の造山運動で,日本列島を含めて,東アジア一帯は陸化しました。

2、古生代のできごと(5億7000万年〜2億2500万年前)

 古生代前期については不明な点も多いが,日本列島で化石を含む最も古い地層はシルル紀(1980年に飛騨山地でオドビス紀の化石が発見されている)のものです。シルル紀中期頃から日本列島付近に海が次第に進入してきて,日本列島は海底時代へと入っていきます。この状態は古生代末まで続くことになりますが,途中に何回

か陸化を繰返したことが,不整合の存在からわかっています。この海底時代を秩父地向斜時代と呼んでいます。福島県内で,この時代にたい積した地層は阿武隈山地東縁部や阿武隈山地中央部の滝根周辺に,会津地方では飯豊山地や帝釈山脈に分布しています。そのほか,会津盆地の南縁と北縁の山地や八溝山地に,化石が産出しないが古生層と思われる地層が分布しています。

 阿武隈山地東縁部の相馬地方では,真野川〜新田川間で東西幅約4kmの範囲に,相馬古生層と呼ばれる古生層が分布しています。相馬古生層の最下部層からシノスピリファーが発見され,化石から,この地層は今から3億5000万年前の上部デボン紀にたい積したもので,化石を含む地層として,阿武隈山地で最古のものとわかりました。

 いわき地方に分布する古生層として,旧八重鉱山一帯に分布する石灰岩から,ウミユリの莖の化石が発見され石炭紀の地層であることがわかりました。また高倉山には,高倉古生層と呼ばれる黒色スレートや硬砂岩が分布しており,二畳紀のスピリファー,三葉虫,サンゴ類などの化石が数多く発見されています。

 一方,会津地方では,飯豊山地や帝釈山脈に分布する古生層から,二畳紀のフズリナの化石が発見されており,化石と岩相から二畳紀中部〜上部層に相当する地層
石炭紀前期の日本列島

石炭紀前期の日本列島


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