理科学習指導資料高等学校「理科2」の指導-000-01/139page

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まえがき

 生徒が自主的に研究課題や目標を設定して探求の過程をたどりながら課題の解決をはかっていくことは,科学知識の理解にとどまらず,創造的な能力を育成していく上で極めて有効な学習過程である。新学習指導要領「理科1」をとおして取扱ってきたことは,自然の事物現象について基礎的な知識・理解を主とするもので,多くの科学者が行なった検証実験や観察の結果わかった内容である。これらについて生徒らはただ受け身の学習ですませている場合が多いのではないだろうか。「理科1」につづく「理科2」は生徒自らの力によって自然の事物現象から課題を発見し,意欲的に,辛抱づよくやりぬく意志力を養いながら,実践研究を行わせるものであり,分析的,総合的なみかた,考え方をもとにデータについて正しい解釈・考察・まとめができて研究の喜びを体験させることをねらいとしている。
 本教育センターでは,高校「理科1」指導の手びきを昭和56年に刊行したが,つづいて昭和57・58年の2年間にわたり,「高校理科2学習指導に関する研究」を主題として,指導計画,指導方法及び観察実験調査の課題事例について研究を進めてきた。まず,とりあげた課題事例と中学校理科,高校理科1,選択理科各科目との関連を考察し,次に指導計画・指導上の留意事項・研究結果のまとめ方などについて「理科2研究の進め方」の中にのべてある。課題事例については,県内高校での理科2履習状況・学校の施設設備・県内各地環境の特徴などについて充分配慮し,「理科2」に示されている3つの領域にわたり適切なテーマを次のように設定した。
(1)「特定事象についての観察実験」は物理,化学,生物,地学の各分野から2つのテーマをえらび,それぞれ基礎的内容のものと,発展的内容のものを含めてある。基礎的なものは中学校理科・高校理科1の内容をもとにしており,発展的内容のものはそれらをさらにレベルアップしたものである。
(2)「自然環境についての調査」は生物,地学の分野から県内浜通り,中通り,会津各地域の自然環境の特徴を考慮したものと,地域性によらない一般的なものをとりあげている。
(3)「科学の歴史的事例についての研究」は物理,化学から2テーマ,生物,地学から1テーマをえらび,科学の方法を習得させる意味から,歴史上,著名な科学者の業績についての検証実験と,全体的な科学史の流れをたどらせるものとをとりあげている。
 最後に,「資料」として県内高校生が科学クラブ活動などの中で研究発表されたものについて,研究テーマを集約し紹介してある。課題の発見や,研究の動機づけに参考にしていただきたい。
 各学校においては本資料を十分活用され,「理科2」の目標,内容などについて理解を深められるとともに,更に創意工夫を加えて指導に当たられるよう希望してやまない。この資料は高等学校理科2研究委員会の度重なる研究討議をへてまとめたものである。終始熱心に研究に協力いただいた所外研究協力委員の先生に厚く感謝の意を表する次第である。

昭和59年3月

福島県教育センター所長

舟山昇


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