理科学習指導資料高等学校「理科2」の指導-095/139page
12 月面クレーターの写真観察
1 ねらい
地球も月も石質いん石のような星間物質から形成されており,また,形成の過程も似ていると考えられている。月面には黒く平らな海のように見られる部分と,明るく光って見える部分があり,その月面上にはクレーターと呼ばれる無数のくぼみが見られる。この姿は地球の創生期の様子を示めすもので地球の進化を探る手がかりとなる。
ここでは,クレーターをその形や成因によって分類し,その分布を調べたり,クレーターの多重部分を観察し,その形成順序を調べる。
2 準備
人工衛星から写した月面写真,ものさし
3 実習
〔実習1〕
クレーターの外形から分類する。
(1)クレーターの外形の特徴と分類基準
・クラビウス型クレーター(A型)
月面の南端に見られる長径250kmにおよぶクレーターで,底面が平らで,周壁の形が六角形をしているのが特徴で,周壁や底面に新しいクレーターがあり,初期に形成されたものと考えられる。
・ボール型クレーター(B型)
月面全体に分布しており,クレーター周壁の影がまるく写しだされている。
この型のクレーターの周壁は新鮮で,はっきりしている。この型のクレーターで規則的に並んでいるのは,爆発によってできたと考えられている。一方,分布になんの規則性のないものは,いん石の激突でできた孔と考えられる。
・コペルニクス型クレーター(C型)
月面の中央より斜め東寄りの海に見られるクレーターで,周壁が同じ円状の段丘になっていたり,中央丘があることで特徴づけられている。また,比較的生成の新しいものは,周辺に飛びちるように輝く輝条をもっている。この型のクレーターは,いん石の激突によってできたと考えられる。
・えくぼ型クレーター(D型)
天体望遠鏡で観察できないような小型のクレーターで,小さいものは数10cmで,周壁のもり上がりのないものである。この型のクレーターは,ガスの噴出によってできた地下の空洞が落ちこんでできたものと考えられている。(E型)
1)クラビウス型クレーター
2)ボール型クレーター
3)コペルニクス型クレーター
4)えくぼ型クレーター
(実教:高校理科2より)