理科学習指導資料小学校低学年理科の指導-001/116page

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1 低学年における理科指導上の問題点

(1)内容の理解を系統的に積み上げることを重視しすぎた。
学習指導要領改訂前は、低学年の内容をA・B・C区分に分け、系統性を重んずる反面、児童の自発的な活動を押えるものにしていた。また、ことばによって理解させる場面が多く、知識優先の傾向が強かった。さらに、先行経験を学習の支えとし、構造的、系統的な知識の積み上げが強調される結果にもなっていた。
低学年理科では、植物、こん虫、石、雲、雨、光、音、かげなどの自然の事物・現象をあるがままに見せて、自然から直接学ぶ喜びを具体的な活動を通して十分に体得させることが大切である。

(2)高学年理科の考え方を低学年にあてはめていた。
問題解決的な学習をそのまま低学年の授業におろす結果、授業の中で次のような無理が見られた。

1)学習形態がパターン化する。
問題解決的な学習は、一人一人の児童に合った活動ができるように場面を設定する必要がある。ところが、問題解決の過程を形式の面から行おうとしたり、問題解決の過程のある部分の技術的なことのみに、研究、実践のウェイトがかかる傾向があった。その結果、課題、実験、観察、まとめといった形式的、画一的な学習過程をたどる結果になってしまい、個を生かそうとしても、学習結果の多様性を心配したり、結果をおそれたりして、個を生かす指導が消極的になってしまうことが多かった。
2)授業内容をむずかしくする。
理科の学習では、科学的な思考を育てることが大切であるが、低学年の授業にあっては問題解決的な過程をたどらせたり、問題の意識化を図ろうとしたり、予想を無理に立てさせようとしたりして、かえって難しくしてしまうことが多かった。低学年の理科は、むしろ高度な思考を要求するよりは、その特性からも、活動することによって学ぶということを忘れてはならない。
3)ことばでまとめようとする。
活動を通し、体で学びとろうとする低学年の児童の授業では、まとめが必要だということで、学習事項を強引にことばで、また、板書でまとめようとする場面が多かったのではなかろうか。もちろん、基礎、基本にかかわることはそれ相当のまとめ方をして、身につけるようにしなければならないが、児童が夢中になって、自然の事物・現象にはたらきかける活動体験は、児童の心に強烈に焼きつき、それがまさに児童にとって学習のまとめであるものが多い。

(3)児童の特性のとらえ方が抽象的であった。
特に、1年生の授業中の行動を追ってみると、非常に衝動的で目先の事象にとらわれ、前後の見境などはなくなってしまうのが実態である。このような児童を相手にして、教師がこうはたらきかけると、児童がこのように反応するといった一事例だけで、授業を展開し一般化しようとする場合が多いのではなかろうか。したがって、実際の授業の場では役に立たない場合が多い。ま


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