理科学習指導資料小学校低学年理科の指導-002/116page

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た、低学年児童の能力の発達特性までも高学年的な類型の中でとらえようとしてはいなかっただろうか。

2 低学年児童の特性

まず、低学年児童の特性を具体的にとらえるためのいくつかの基本的な要素をあげてみる。次のような要素をもとに、児童が自然の事象にはたらきかける様々な活動から、効果のある低学年理科の授業展開について研究を深めていく必要がある。

(1)活動しながら考える。
2年の「まめでんきゅう」の授業で、電池と豆電球と1本のエナメル線を与え、「豆電球をつけられるかな」と問いかけただけで、後は黙って児童の活動に任せた。うまくつけられる児童は一人もいない。「つかないよ」「こわれている」などといいたがら、なんとかして点灯しようとあれこれ試み苦心している。20分過ぎた頃、突然「ついた!」と一人がさけんだ。その児童はエナメル線のエナメルをはがすことに気づいたのだった。このことは全くの偶然であったかもしれないが、とにかく点灯できる可能性を見い出したことによって、児童たちはさらに夢中になった。そのうちに教室のあちこちで「ついた」という声があがり、授業の終る頃には全員がうまく点灯することができた。この間、教師は助言や指導を極力さけ、紙やすりでエナメルをむく方法だけを指導した。このように児童は活動しながら考え、考えながら行動しているので、途中で質問をしても、期待した答えがかえってこないことが多い。一般に、動物や植物、あるいは物に対しても一体となって活動し、特に、動物には友だちのように感じて行動する傾向がある。

(2)からだで理解する。
1年の「あさがおのはな」で、花の色うつしをするときに、児童たちの身辺にある筆入れ、小石などを手あたりしだいに使って作業が進められた。失敗をくりかえしながら「たたくのも、こするのもすべすべしたものの方がよい」ことに気付いて、花の色うつしがうまくできるようになった。また、「うごくおもちゃ」では、自分の作った風車を持って校庭を走り回り、疲れてくると、走らないで回すことを考えはじめる、風に向けて固定することや羽根の枚数やひねり、風車自体の大きさなどいろいろ作り変えていった。このような具体的な活動を通してこそ、ものの著しい特徴に気付き、自分なりに工夫していくのであって、いかに話術をこらしても、児童と事象とのかかわりにはおよばないものである。

(3)ものを作ることが好きである。
1年の「たいようとかげ」の学習の終末近くなって、ある児童が「先生、太陽がなくても影ができるよ。軍気でもできるよ。」と言いだした。これがきっかけになって影絵遊びをすることになった。OHPを使用し、グループごとに相談して画用紙や色セロファンを切りぬいて型を作り、竹ひごをつけて発表会が行われた。ままごと遊び、サッカー大会、怪獣ごっこなど、自分と影絵が一体化して実に楽しそうに表現していた。2年の「はたけやのはらのいきもの」では虫の家作りをした。グループごとに工夫をこらした虫の家ができあがった。また、「たいようのうごき」では太陽をつかまえようと太陽めがねとか、太陽カメラなどを作った。子どもらしいきわめて簡


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