先端技術をとり入れた理科(物理領域)に関する教材・教具-046/47page

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あとがき

 教育という仕事は、生徒と教師があれば成立するという単純なものではない。生徒の学習意欲・学習教材・学習指導法どれをとっても生きものである。人間を扱うからである。物質が原子または分子からでき、更に原子は原子核からなり、核も多くの粒子からなる。かりにこれら粒子の性質がわかったとしても、それらでできている物質の性質までもわかることにはならない。実に複雑多彩である。あたかも、一人一人の生徒を観察して、よく知っているつもりでも、集団になると容易に想像できない行動をすることがあり、よく似ていると思う。しかしそのような複雑なものでも、「振る舞い」を説明したり予測したりできる教師がいる。これがベテランといわれる教師である。
 筆者は、自然科学の少数の原理からできるだけ多くの事実を説明しようと試みている。人間界の複雑な現象を少数の原理、法則によって垂直的に分析することは極めて危険なことであり、自戒していることでもある。しかし、これをあえて行ったのは、いわゆる「カン」や「名人芸」といったものではなく、はっきりとしたアングルでの実践を行いたかったからである。
ねらいを達成させるための教材・教具の開発は、今後、更に近代化に向けて盛んになってくると思われる。しかし、科学の進歩が必ずしもメリットばかり提供するとは限らない。
教師は、システムの複合化によるデメリットにも早く気がつかなければならないだろう・つまり、こうした先端技術を取り入れることによって、科学を理解させ得るものと、科学を放棄させるものを選別する眼を養わねばならぬのである。
 開発に夢中になると、常に教育効果があるのかどうか、の問いかけをすることを忘れてしまう。心したいものである。また、新開発の教材・教具の中で、原理的にしっかりしたものは長く生き続ける。筆者はこれを絶えず念頭におき、原理的にしっかりしたものを追求して行きたいと思っている。いくら時代が変ろうとも、教材・教具の開発には終りはないからである。

 筆者 福島県教育センター指導主事 亘理尚寛

文献

1)FET規格表  CQ出版

2)OP AMP規格表(1)(2)  CQ出版

3)TTL IC規格表  CQ出版

4)CMOS IC規格表  CQ出版

5)MEMORY IC規格表  CQ出版

 協力(写真撮影) 福島県立磐城高等学校教諭 高橋紀信


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